保存期慢性腎臓病(CKD)患者におけるFGF23と25(OH)D測定の併用は、腎予後のリスク評価に有用 | 大阪大学腎臓内科

保存期慢性腎臓病(CKD)患者におけるFGF23と25(OH)D測定の併用は、腎予後のリスク評価に有用

Clin J Am Soc Nephrol 2012; 7: 810-9

Combined use of vitamin D status and FGF23 for risk stratification of renal outcome.

Nakano C, Hamano T, Fujii N, Matsui I, Tomida K, Mikami S, Inoue K, Obi Y, Okada N, Tsubakihara Y, Isaka Y, Rakugi H.

 

CKD患者の骨ミネラル代謝異常(MBD)に関わる因子群の異常(血清リン高値、副甲状腺ホルモン(PTH)高値、25水酸化ビタミンD(25(OH)D)低値、活性型ビタミンD(1,25(OH)2D)低値、線維芽細胞増殖因子23 (FGF23)高値)は、それぞれが心血管病発症や死亡だけでなく、腎臓病自体の進行危険因子であると近年報告されています。しかし、これまで一つの研究でこれらの因子が同時に検討されたことはほとんどなく、どの因子がより重要な腎予後予測因子であるか分かっていませんでした。私達は、OVIDS-CKD研究に登録された保存期CKD患者さん738名でこれらすべてのMBD因子を計測し、腎予後(血清Cr2倍化もしくは透析導入)との関連を検討しました。研究登録時の各MBD因子と推算糸球体濾過量(eGFR)との関係をみると、腎機能の低下に伴って、まず、FGF23が上昇し、その後1,25(OH)2Dが低下、PTHが上昇、リンが上昇しました(左図)。また、MBD因子の中で、25(OH)D低値とFGF23高値だけが腎予後不良と関連し、この二つの因子を併用することで、より正確に腎予後のリスク評価が可能になることを明らかにしました(右図)。

(左図)A~Eは、それぞれの因子の傾きが有意に0から離れる点を表し、FGF23はeGFRが80mL/min/1.73m2以上の慢性腎臓病早期のステージから傾きは常に正でした。 (右図)血清25(OH)D、血清FGF23の中央値による4群のカプランマイヤー解析では、FGF23低値群が高値群よりも腎予後は良好で、FGF23の値にかかわらず、25(OH)D高値群の方が低値群よりも腎予後が良好でした。