腎尿細管間質障害に対する25-hydroxyvitamin D3の直接作用

Kidney Int. 2015; 88(5): 1013-29

Excess 25-hydroxyvitamin D3 exacerbates tubulointerstitial injury by modulating the phenotype of macrophages in mice.

Kusunoki Y, Matsui I, Hamano T, Shimomura A, Mori D, Yonemoto S, Takabatake Y, Tsubakihara Y, St-Arnaud R, Isaka Y, and Rakugi H.

 

我々は、活性型ビタミンD(1,25D)やそのアナログ(OCT)に腎保護作用があることを、動物腎障害モデルを用いて明らかにしてきました(Nephrol Dial Transplant 2009; 24: 2354-61, Lab Invest 2012; 92: 1686-97)。しかしながら、臨床研究において腎予後と相関するのは血中1,25D濃度ではなく、前駆体25-hydroxyvitamin D(25D)濃度です(Clin J Am Soc Nephrol. 2012;7(5):810-9, J Clin Endocrinol Metab. 2014;99(2):527-35)。このため、一般には前駆体と考えられている25Dにも何等かの直接作用があるのではないかと考え、25Dが1,25Dへと変換されない25D活性化酵素欠損マウス(CYP27B1-KOマウス)を用いて検討を行いました。その結果、過剰量の25Dは腎尿細管間質障害を悪化させることが明らかとなりました(図1)。

さらに、
①マクロファージを欠乏させたCYP27B1-KOマウスでは過剰の25Dによる尿細管間質障害悪化作用が見られなくなる(図2)
②CYP27B1-KOマウスから単離したマクロファージに25Dを負荷すると腎障害促進性サイトカインが誘導される
ことから25Dは腎浸潤マクロファージへ直接的に作用して腎尿細管間質障害を悪化させていることが分かりました。

図1:腎臓のCollagen I染色です。線維化部分が濃い茶色に表現されています。25D過剰投与群では染色部位が拡大しています。

図2:同じく腎臓のCollagen I染色です。マクロファージを欠損させたCYP27B1-KOマウスでは過剰量の25Dを投与しても染色部分が拡大しません。