VDRAの心血管アウトカムへの効果はALPによって修飾されるか? - J-DAVID試験post-hoc解析
Sci Rep 2022;12(1):15463. PMID: 36104443
Effects of alfacalcidol on cardiovascular outcomes according to alkaline phosphatase levels in the J-DAVID trial.
Oka T, Sakaguchi Y, Isaka Y, Ishii H, Kabata D, Shintani A, Nakatani S, Morioka T, Mori K, Inaba M, Emoto M, Shoji T.
血液透析患者の心血管予後に対する経口alfacalcidolの効果を検証したJ-DAVID trial (Shoji T. JAMA 2018)では、同薬によるハードエンドポイントの改善は示されなかった。ただし、本試験は二次性副甲状腺機能亢進症のない症例を対象としているため、介入前から存在する骨代謝回転の低下がalfacalcidolの有益性を相殺している可能性がある。そこでこのJ-DAVID post-hoc解析では、intact PTHよりも低回転骨の識別能に優れるとされるアルカリフォスファターゼ(ALP)(Salam S. JASN 2018)によるサブグループ解析を行った。
ALPの中央値[四分位範囲]は234 [183-296] U/Lであった。心血管イベントや死亡に対する割付け群とALPの交互作用はいずれも有意でなく、ALPはalfacalcidolによる介入効果を修飾しなかった(下図)。また、Intact PTHとALPの両者ともに低値のサブグループや両者ともに高値のサブグループで解析しても、主要アウトカムに関してalfacalcidol群と対照群の間に有意差を認めなかった。
結論として、経口アルファカルシドールはALP値によらず二次性副甲状腺機能亢進症のない血液透析患者の予後を悪化も改善もさせなかった。
(図) 対照群に対するalfacalcidol群のハザード比はALPによって有意に変化しない。(a) 心血管イベント、(b) 全死亡、(c) 心血管イベントと死亡の複合
(謝辞)
J-DAVID研究会ならびに公募研究委員・解析担当の先生方に厚く御礼申し上げます。