小さな異文化体験

研究室の窓から、紅・黄・緑の木々が並んでいるのが見えます。今週は、黄色の葉がどんどん落ちて、いよいよ冬がやってくるのだなあ、という感じがします。京都の冬は恐ろしく寒い、とみんなから脅かされているので、もう準備万端。覚悟はできています! 実は、今研究室のメンバーの中で、私ひとりだけ、関東出身。生まれて初めての関西圏生活がスタートして半年以上経ちましたが、とにかく驚きと発見の連続です。狭い日本の中にも、こんなに多様な言葉や風習があるのか、とびっくりしてしまいます(あと、笑いのツボも多様ですね)。私達4人は全員出身地が違うので、方言の話をしても、お雑煮の話をしても、お互いに「知らない世界」・・・。えーっ! そんなのあるんですかー! と、大いに盛り上がることしばしばです。 それから、京大の文化! 私は学部も大学院も筑波だったので、大学の雰囲気の違いにも目を見張ることがあります。自由で議論好きな風土を肌で感じて、とても面白いです。でも、一番ショックだったのは、みんな(学生さんも)加藤和人氏を「加藤さん」と呼んでいること。だって、助教授の「先生」でしょ、なんで「先生」って呼ばないの?! と、初めは大いにうろたえていた私。一方、加藤氏のほうは、「先生」付けされるのに違和感があって、困っておられたそうです。京大の中でも分野や研究室によって少し違うようですが、大学の先生を「さん」付けで呼ぶ習慣があるのです(他の大学でも、分野によってはあるらしいです)。アカデミックな議論に上下関係はいらない、という背景なのでしょうか。とにかく、こういうことを大事にする精神がある、ということ自体に刺激を受けました。学問をやろう! という感じがします。 というわけで、このサイトで私達が「加藤さん」と呼んでも失礼ではないようです。どうぞご了承下さいませ。 あちらこちらで新しい文化に触れて、ちょっと留学しているような気分です。 (加藤牧菜)

21世紀COE 国際学生セミナー

「21世紀COEプログラム第三回国際学生セミナー」で、生命文化学講座初(!)のポスター発表を行いました。 この春できたばかりの研究室ということもあって、たくさんの方に訪れていただき、お話しすることができました。英会話はしどろもどろになりがちなので、トレーニングの必要性を思い知らされました・・・。 発表内容は、日本のゲノム研究者がこれまで社会との関わりにおいてどのような活動をしてきたかという歴史をまとめたものでした。 バーゼル免疫学研究所の所長を務められたDr. Fritz Melchersからは「日本人は何を基準にして倫理的判断をするのか?」「生命倫理の研究をするならゲノム研究よりも幹細胞研究のほうがよっぽど大切ではないか?」「あなたは何をコミュニケートしたいのか?」という質問をいただきました。うまく答えられなかったのですが「日本人には宗教を持たない人が多いけれど、ものごとは話し合って決めます」「幹細胞研究の倫理問題は重要だと思いますが、私の主な研究テーマは生命倫理ではありません」「私は研究のおもしろさをコミュニケートしたいです」とお答えしたところ「それはいいね、Congratulations!」と言われました。 インドネシア出身の留学生からは「科学者と社会との科学コミュニケーションも大切かもしれないけど、先進国と発展途上国の間でのコミュニケーションのほうが切迫した問題なのではないか」ということを、森林の伐採などを例に挙げながら言われました。私には思いつかなかったことなので、こうしていろいろな方と研究の議論ができるのは貴重な機会だと思いました。 生命科学系の大学院生は、研究費の配分がどのようにして決められるのかということに大きな関心があるようです。普段も同期の友だちからよく言われるのですが、今日も「そのあたりをぜひ研究してくれ」と複数の方から言われてしまいました。 このほかにもいろいろと有益な議論ができました。訪れていただいた方には本当に感謝しております。ありがとうございました。 演題は全部で86もありました。このCOEでは活発に研究が進んでいることを改めて感じました。私もがんばらなくては。明日からは、今日の発表内容を論文にまとめるべくがんばります! (伊東真知子)