文部科学省インターンシップ

ごぶさたしておりました、伊東です。この日誌では過去を振り返りがちになってしまっていますが、今年の3月、文部科学省に2週間お世話になってきました。文部科学省では、「教育」「文化・スポーツ」のほかに「科学技術・学術」も扱われています。その中でも私は、大学や研究機関で行われる研究がどのように推進されているかということを学んできました。 私の研究テーマは「科学コミュニケーション」ですが、コミュニケーションはもちろん手段であって目的ではありません。目的はいろいろ設定できると思いますが、大ざっぱにひとつ「どういう科学がよいと思うか、対話を通じて考えを深める」ということが挙げられると思います。例えば、社会と調和した形で科学技術が進歩するために、あるいは、これまでになかった面白い研究が実現するように、など。 文部科学省の科学技術行政は、どういう科学技術を推進するかという問いに対する政府の答えといえます。その現場でいろいろ見聞きして学びたいと思ってインターンシップに応募したのでした。みなさんお忙しい中親切にたくさんのことを教えてくださり、例えば、研究費はどのようにして配分されるかといったこともずいぶんわかりました。 結果的にもっとも強く感じたことは、私自身は行政に直接関わるよりも研究という形でよりよい科学について考えていきたいということだったのですが、いわゆる官僚という方々は幅広い知識を持ってとてもよく働く人たちで、中央省庁という職場の魅力がわかったような気がしました。 文部科学省のインターンシップは毎年春と夏に行われているそうで、Googleなどで簡単に要項を見つけることができます。旅費や滞在費は自己負担になりますが、得がたい経験ができると思います。 ちなみに最近は論文を書いております。ちくちくと英作文の日々です。次回の日誌でよい報告ができることを夢みております。。 (伊東真知子)

梅雨ニモマケズ風邪ニモマケズ

はじめまして、新メンバーとして参加しました加納圭です。このWeb Pageの管理も任され、4月後半に「ゲノムひろば2004」の「そもそもゲノム」パネルというページを練習がてら作りました。ご意見等ございましたら、こちらまでよろしくお願いします。 それで、いきなりの反省なんですが、すっかりこのページの存在を忘れてました。つい先日伊東さんからの指摘で皆が思い出し、筆をとっている次第です。にしても、前回は3/9だったんですねぇ。タイトルも「春はもうすぐ」。皆さん良い春を過ごせましたか?って大きなお世話ですかね。とりあえず、僕の春について振り返ってみることにします。 加藤研としての生活は、4/5にスタートしました。最初の仕事はまず机、PCの配置から。伊東さんが学生が増えたことに感動してはしゃぎまわっていたのが印象的でした。初日はこんな感じでおしまい。初めて会った他の新メンバーたちと少し緊張しながらしゃべっていたのが今では懐かしい。 そうそう、言わなきゃと思って忘れてました。名前の話。加藤研では皆をイニシャルで呼ぶ(って言ってもメールとかホワイトボード上でだけど)習慣があるらしく、ここで困ったことが。そうなんです。KKがかぶっちゃうんですよね。 加藤牧菜さんという第二の加藤がいたり、第二のKKがいたりほんとややこしい研究室です。んで、結局K2と改名することになりました。慣れるまでしょっちゅうKKに反応してしまう自分がいましたが、今はなんとか。  まぁ、とりあえず立ち上げはこんな感じでしたかね。もう梅雨だってのにこんな時季はずれな話題で申し訳ない。空白の3ヶ月を埋めるべく、しばらくこんな感じで昔話をしようかなと。まぁ、今回はその記念すべき第一回目ということで。 皆さん、風邪などひかずにこのうっとおしい梅雨を乗り切りましょう!!               こんな感じで模様替え (加納 圭)  

春はもうすぐ

今日の京都はびっくりするほど暖かい! 日差しもやさしい感じがします。でも、まだまだ風邪が流行っているようですね。みなさま、大丈夫でしょうか? 私はこの冬は、2度ほど軽くやられましたが、インフルエンザは免れました。なんて言っている間に、今度は花粉症の季節になるわけですね。早いものです。 さて、先週は京大の入試で、ここのキャンパスも、学生服の青年達や、親子連れでいっぱいでした(中には、おばあちゃまとおぼしき方が同伴の受験生もいました)。それが一段落したと思ったら、いよいよ年度末。大学中、どこも大忙しです。加藤研も、4月から加わる新メンバーを迎える準備を、少しずつ始めました。部屋のレイアウトを考えたり、新学期の予定を立てたり。忙しい中でも、なんとなく楽しい気分になりますね。   そういえば、昨年末、生命科学研究科の広報誌の表紙に、「新設された生命文化学分野のメンバー」として、現在の加藤研4人の写真が載りました(pdfファイル)。大学の研究室の写真とは思えないぐらいに、みんな異様にうれしそうな笑顔で写っています。これを見ると、今年はこの笑顔で乗り切ったなあ、としみじみします。新しい研究室の立ち上げ、「ゲノムひろば」の準備とまとめ、講義やセミナー、企画の打ち合わせ・・・。講演や会議で飛び回っていた加藤さんに続いて、みんなでパタパタ走った感じです。 さあ、来年度のメンバー写真はどうなるでしょうか? 期待でいっぱいです。 (加藤牧菜)

シンガポール

こんにちは、しばらくご無沙汰してしまいました。 もう1ヶ月近く前のことになってしまったのですが、国際シンポジウムのためシンガポールに行ってまいりました。シンガポールは国策としてバイオ研究に力を注いでいるらしく、「バイオポリス」という新築の研究施設群には、世界中から企業や研究者が誘致されています。真新しく斬新なデザインのビルに、製薬企業の熱帯病研究所のロゴが大きく入っていました。 シンガポールは熱帯の国であるせいか、街路樹もびっくりするほど大きな木が多かったです。ちょうど中国の旧正月の準備期間で、街は派手なデコレーションで賑わっていました。 個人的には、英語でおしゃべりする時間をたくさん持つことができたので、「yeah」とか「um-hum」とか照れずに言えるようになったと思います。京大からは大学院生が20人ほどと先生方も参加していたので、ゆったりと時間を共有して交流を深めることができたのもとても有難かったです。 ちなみに帰ってきた次の日にちょうど雪が降って、熱帯から極寒への移動を体験しました。体のあちこちがかさかさに荒れましたが、それもいい思い出になりました。 (伊東真知子)

研究室事情-耐寒の巻

寒中お見舞い申しあげます。 寒さが厳しい今日この頃、皆さまいかがお過ごしでしょうか。 わたしは「寒」という字を見るだけで、ぶるっときます。というのも、京都は底冷えの厳しい土地柄ですから。なんとなく街中の猫背人口も多い気がします(京都人の方、スミマセン)。 だから当然寒い研究室。冬以外の季節ではメリットの「広い、天井が高い、明るい」が冬になると暗転。部屋が広く天井が高いので、エアコンとともにガスヒーターを導入するもなかなか部屋が暖まらず。そして室内が乾燥する。明るい(窓が大きく多い)ため、隙間風がピューピュー。 しかしめげずに皆でいろいろアイデアを出して、楽しみながら寒さと付き合ってます。今試していることは4つあります。どれもそこそこの効果があり、おそらく快適な研究室を演出しているかと思います。 (1)温かい飲み物を飲んで、体のなかから暖めよう! とにかく一日中、何かしら飲んでます。ちなみに研究室内で大当たりだったのは、ルイボスティ。難点はお手洗いが近くなってしまうこと。ここ2カ月くらい女子トイレが工事中だったので、微妙に遠いトイレまで駆け込まなければならず往生しました。 (2)段ボールで風よけを! 足元付近にも窓があるため下からシンシンと冷える。下窓の隙間をカバーするように段ボールを並べた。これは予想外に効きました。わたしはただ並べただけだったのですが、伊東さんの努力により、段ボール製の風よけに変身し立派なものに。 (3)霧吹きでシュッ、シュッ! つまり手動式加湿器。牧菜さん持参の霧吹きに水を入れ、ついでにアロマオイルも少々加え常にシュッ、シュッしてます。肌の乾燥や風邪ひきを防ぐとともに、香りに癒されて満足、満足。 (4)足湯でウットリ! まだ1回しか試してませんが、かなりいいらしい。タオルを常備することと足を清潔にしておくことが条件。ちと面倒なのでわたしは思案中(足はたぶん清潔かと)。 最後に個人的に今冬からやってみたこと。それは「ババシャツ」の着用。わたしは風の子と言わんばかりの薄着でしたが、あっさりその看板を下ろし「ババシャツ」を愛用しております。 (山本芳栄)

デュッセルドルフより(休暇中の番外編)

ドイツのデュッセルドルフという街に来ています。ここは日本の商社や大会社のブランチも多くて、「日本通り」があるほど。おにぎりも簡単に手に入ります。ここのクリスマスはとても静かで、おだやかでした。みんな家族と過ごす24日の晩には、お店というお店が全部閉まって、まるで日本のお正月のよう。人っ子一人いない真っ暗な街に、教会の鐘が鳴り渡っていました。  この街のオペラ劇場で働いている親友がいるので、稽古に連れて行ってもらったり、歌い手さんたちと一緒にご飯を食べたりしています。昨日はプッチーニのオペラ「ボエーム」の立ち稽古を覗いて来ました。歌詞はイタリア語、演出の指示は基本的にドイツ語、それにロシア人のテノールのお兄さんは時々英語で答え、スイス人のバリトンのおじさんはフランス語で話し掛けてくる、といった具合。こんな状態が当たり前なのだそうです。   もちろん、個性的な面々が本気でコミュニケートするときには、忍耐も必要。でも、大勢でひとつのものをつくり上げる醍醐味は、世界のどこでも同じです。なんだかそれがうれしくて、ニヤニヤしながら眺めていたら、稽古のエキストラに使われてしまいました。音楽に合わせて出て行って、小道具を渡して帰ってくるだけなのですが、一回やったら、指揮者の人が「デビューおめでとう!」と走ってきてくれました。みんなフレンドリーです。 写真(上):稽古場の風景 写真(下):楽屋でバリトンのブルーノと(裏方さんの格好ですが、これが衣装だったのです) (加藤牧菜)

分子生物学会

12月8~11日に神戸で行われた分子生物学会に行ってきました。この学会は生物学関係では国内最大の学会のひとつで、「巨大!」という感じです。たとえばポスター発表は4000題近くあるので、体育館のような2つの展示場に650枚ずつ張ってあって、さらに3日間総張り替えというすごさです。とても全部の発表をじっくり理解することはできないのですが、いろいろな分野の動向をざっくり見て回ることができます。 自分自身がホヤの研究に携わっていた頃は、自分の研究テーマと関連する内容の発表があったら飛びついて見に行きました。当時は当たり前のことだったのですが、今にして思えばそれはひとつの楽しみだった気がします。その代わり、今はどの研究も客観的に見るようになったので、また違ったおもしろさや楽しさがあることがわかりました。「この発表は自分には関係ない」と思ってパスするということもなくなりました。研究の進め方や着眼点という観点からいろいろな研究を見て考えるのもおもしろいです。もちろん、生物の研究に関わりながらそういうふうに研究を見ることができる人もいらっしゃるのでしょうけど。 「科学コミュニケーターは『研究の目利き』としての役割も果たしうる」ということがときどき言われますが、その意味がすこしわかった気がします。目利きになるべくがんばります。 最終日の11日には「学会と社会との接点等に関するワークショップ」が4つ行われました。私は「生命科学研究の現場と社会:双方向のコミュニケーション」に参加しました。「AdvertisementからPublic Relationsへ」、学際交流の触媒としての科学コミュニケーション、科学コミュニケーションにおける需要と供給のズレの問題、エンターテインメントとしての科学、医療の現場における科学コミュニケーション、などたくさんの話題が提供され、これからの科学コミュニケーションはこうあるべきだというモデルも複数提案されました。また、科学と宗教、または科学と文化という異質なものどうしの関係が日本と欧米ではそれぞれどうなっているかということや、文理の壁の問題、今後有効な科学コミュニケーションが継続的に成り立つために具体的にどういう枠組みが適しているか、といった活発な議論がありました。 ただすこし残念だったのは、去年の分子生物学会での科学コミュニケーションのワークショップはなかなか賑わったそうなのですが、今年は最終日の午後だったせいか、「社会との接点」関連が4つ並行開催だったせいか、お隣の会場も含めてかなり人が少なかったことです。科学コミュニケーションに関する議論は、科学コミュニケーションを専門にしている人たちだけで盛り上がっているばかりでは実りが少ないと思うので、生物の研究者をはじめさまざまな立場の方が参加しやすい工夫が大切だと改めて思いました。 (伊東真知子)