職員募集のお知らせ

 少々大きなお知らせです。研究室が4月から大阪大学に移ることになりました。大学院医学系研究科の中の現在は「医の倫理学」となっている教室に移ります(研究室名は「政策」という言葉を取り入れた新しいものに変更の予定です)。         研究内容の詳細は移ってからウェブサイトに書きますが、現在、そちらで働いてくださる事務補佐員と研究補助員(募集には技術補佐員と出ています)を募集しています。事務補佐員は私の毎日の事務的仕事を助けてくださる方で、技術補佐員のほうはゲノムELSIユニットの仕事を助けてくださる方を求めています。ゲノムELSIユニットでは、資料収集や整理、研究会の企画・運営など研究内容をある程度理解したうえでの研究補助をしていただきます(理系<学部は問わない>の学部卒や修士卒程度の方をイメージしています)。         私たちの研究室には理系・文系様々な分野出身の方が集まり、毎日が異分野交流の場となっています。そうした環境に興味をもたれる方に応募していただければと考えています。不明の点があれば、メールで問い合わせてもらっても結構です。募集の情報は、大阪大学の本部のウェブサイトの中の「非常勤職員採用情報」というところに出ています。      (補佐員募集は締め切りました。2月10日)

2011年度の初めに当たって

新しい年度が始まりました。        まずは3月11日の大震災において、被害を受けられた皆様に心からお見舞いを申し上げます。この大変な状況に、日本全体で立ち向かい、できるだけ早く復興できることを願うものです。        関西にいる私たちがなすべきことは、具体的、直接的な支援を行うことに加えて、それぞれがもともと携わっている活動をできる限り力強く進め、復興に向けて貢献すると同時に、日本が十分なエネルギーを持っていることを世界に示すことだと考えています。その意味で、ここ京都での研究と教育に一層、力を入れていこうという気持ちでいます。        私たちの研究室では、昨年度から、これまでの実践的科学コミュニケーション活動の比重を小さくし、ライフサイエンス研究の倫理的・社会的課題やガバナンスの課題に力を入れると表明してきました。昨年からスタートした「ゲノムELSIユニット」の活動や、それ以前から携わってきた再生医療の実現化プロジェクトの活動は、そうした流れの中で取り組んでいるものです。これらは、大きな意味では、いわゆる科学政策にも関連した研究でもあります。        ライフサイエンスの研究ポリシーを作る際には、専門家だけで決めるのではなく、広く社会の様々な構成員の意見や考えを取り込むことも重要です。そのためのコミュニケーション活動はやはり重要で、そうした新しい観点から科学コミュニケーションの分野に取り組んでいきます。     4日(月)には入試説明会が開催されます。上記で述べた分野に興味を持つ学生さんは、是非、気軽に研究室を訪問してください。ウェブサイトには十分紹介できていない、現在の研究内容について説明する予定です。

生命科学の倫理とガバナンス

ごく簡単に最近の状況の報告です。        6月は2度海外に出ました。最初はフィラデルフィアでの国際幹細胞学会(ISSCR)。次は英国オックスフォードでのバイオバンクのガバナンスに関する国際会議。前者では研究員の川上君と共同でポスター発表を、後者では口頭発表をしてきました。       時間がないので細かい話は略しますが、どちらの会においても、諸外国の政府機関や大学に多数の専門家が配置されていて、バイオサイエンスの倫理とガバナンスについての調査や研究が活発に行われていることがわかりました。それに比べて日本ではしっかりとした研究拠点がほとんどないのは一体どういうことかと、またもやフラストレーションを感じて帰ってきたというのが正直なところです。オックスフォードの学会にはアフリカの数ヶ国を含む30カ国からの参加者が集まっていました。       科学技術に巨額の投資をしているこの国が、科学政策や倫理、ガバナンスの検討に必要な人材の育成と配置(研究費の投下ではない)に本気で取り組むのはいったいいつのことなのでしょうか。とりわけダイナミックに研究が進んでいるライフサイエンス分野の(ガバナンスを扱う)人材不足は本当に深刻です。

ゲノム研究の社会的・倫理的課題に関する国際会議

4月27日から5月6日まで全部で10日間、カナダと米国での2つの国際会議に出席するため海外に出てきました。        4月28日-30日 カルガリーにて(主催:Genome Canada)        “International GE3LS Symposium 2008 Navigating the Changing Landscape”        (カナダでは、ELSIではなく、GE3LSと言います。ジェルズと発音、3は肩文字)        5月1日-3日 クリーブランドにて(主催:NIHのNHGRI)        “Translating ELSI : Ethical, Legal and Social Implications of Genomics”         いずれの会議も、それぞれの国でゲノム研究の倫理的・法的・社会的課題に関する研究と活動を行っている専門家が一同に会するという大きなものでした。さらに1割~2割程度の海外からの出席者も加わって、参加者数はいずれも200人近かったのではないでしょうか。        僕はカナダでは海外から招かれた講演者の一人として、そしてアメリカでも口頭発表で、日本のELSIの活動の歴史と現状(伊東さんの研究、ゲノムひろば、写真展などを含む)を報告してきました。(東島さんも米国の会議で口頭発表。とてもしっかりとした発表でした。)     どちらの会議にも共通した話題として、バイオバンクの体制構築や運営にどのように市民(試料提供者)の意見を取り入れるか、消費者に直接販売される遺伝子検査(Direct-to-Consumer genetic testingと言う)をどのように規制するか、といったゲノム研究の進展に伴う新しい課題が大きく取り上げられていました。さらには、科学的・医学的研究と社会面の研究をいかに融合させるか、研究の成果をどのように政策に反映されるかといった、以前から議論されている話題も取り上げられており、この分野の長い歴史と層の厚さを持つ両国でもいまだに苦労している課題なのだということがよくわかりました。         2つの国での会議に出て印象的だったのは、カナダのほうが世界の状況をしっかりと話題にしており、米国は「国際会議」と名づけているけれども米国内の話題が中心になっていることでした。カナダの会議では一日目の午後に、インド、シンガポール、マレーシア、英国、中国、オランダ、日本、南アフリカ、フランス、オーストラリア、米国という11の国から一人ずつが各国の状況について報告するというセッションが設けられ、一挙に世界の状況がわかりました。         一方、米国での会議では、「race」「health insurence」といった米国が抱える問題が何度も出てくるのに少々驚いたというのが正直なところです。しかし、メディア研究(肥満遺伝子がどのようにメディアで描かれているか他)、意識調査やフォーカスグループインタビューなどを通したpublic engagementの研究などは、データの解析の仕方にしても、プレゼンテーションにしてもレベルが高く、自分たちはまだまだ努力が必要だという刺激(とプレッシャー)を与えてもらいました。         どちらの会議でも、芸術と科学研究の融合、科学教育といった話題も取り上げられており、科学コミュニケーション(科学の表現や教育を含む)とELSIが自然につながっていることを再確認できたのもうれしいことでした。        残念ながら日本からの参加者は、カナダでは僕一人、アメリカでも数名でした。法学や社会学、文化人類学といった分野出身の人々が当たり前のように会議に参加し、発表しているのを見て、日本でもそうした人たちがもっと増えてほしいと思いました。(うちの研究室でも論文入試で文科系から受験できるので、是非増えてほしいです)       長くなったので、この辺で。       

新年度が始まりました

 毎年のことで、年度末と年度初めは、どたばたのうちに過ぎていきました。とにかく5つの修士論文がすべて合格し、皆が無事卒業できたことが最もうれしいことでした。      5人の修士課程修了生のうち、4人は社会人となり就職し、標葉君は博士課程に進学です。就職した皆が無事勤めているか大変気になりますが、よけいな心配はせずにいずれ近況を知らせてくれるのを待つことにします。         4月から新人が4人加わりました。修士1年は2名。二人とも実に元気な女性ですが、一緒になるともっとパワフルな感じで、研究室がとても明るくなりそうです。         博士課程編入生の中川さんは、阪大から来てくれました(というより、飛び込んできた、というほうが正しいかもしれません)。以前から阪大のコミュニケーションデザインセンター(CSCD)で「サイエンスショップ」の仕事をしてきた方で、川上君、松田君、標葉君たちとも一緒になって、CSCDの平川秀幸さんと昨年度から始めたRISTEXのプロジェクトを支えてくれることを期待しています。        研究員の水町さんは農学研究科の博士課程を終えて、iCeMSの科学コミュニケーションのスタッフとして来て下さいました。iCeMSの研究者たちが街に出て行う(大学の外に出ることに意味があります)「iCeMSカフェ」を定期的に実施するために、加納君と一緒に仕事をしてもらいます。そう5月10日には第2回のカフェを開催します。是非、多くの人に参加してもらいたいです。         新しい顔ぶれで、人と人との相互作用(!)も新しくなります。是非、面白いことが多数、起こることを期待しています。僕自身は、人文研を含む自分自身の仕事、学生たちと一緒の仕事、そして、その他のいろいろな仕事をバランスよく進められるように努力していきたいと思っています。