現在の医療において,がんゲノムやNIPTなどの出生前診断,難病医療の推進など,遺伝学的検査の実施やその後の診療において,「遺伝」に関わらざるを得ない場面が急激に増加しています。その状況の中で臨床遺伝専門医とともに大きな役割を期待されているのが,認定遺伝カウンセラーです。
認定遺伝カウンセラーという医療職は欧米では早くから注目され,認定制度も進んでいますが,国内においてはまだその歴史も新しく,承認を受けている認定遺伝カウンセラーの人数も2019年度で267名しかいません。そこで,当保健学専攻に2020年4月から,国内で17番目となる博士前期課程としての養成コースを開設することになりました。
本コースを含めて全国で20コースが開設することになりますが,本校の特徴は保健学専攻での設置として2つ目であり,統合保健看護科学分野,医療技術科学分野の広い分野の指導教員が対応すること,講義についても医学部,人間科学部,連合小児など他学部との協力を得ていること,そして豊富な遺伝カウンセリング症例のある大阪大学医学部附属病院の遺伝子診療部での実習経験を積めることが特色と考えています。
将来の医療現場で期待される認定遺伝カウンセラーとして,トップレベルの広い視野と高い見識,そして来談者に対する思いやりのある医療者を育てたいと思っています。