1.食道がん・胃がんに対する化学療法
食道がんや胃がんに対する化学療法は、上部消化管グループと協力・相談しながら診療を行います。上部消化管の診療内容のページもご参照ください。(http://www.med.osaka-u.ac.jp/pub/gesurg/consultation/jyobu_shouka/syokudo/index.html)
2.食道癌に対する術前化学療法
手術が可能と考えられる食道がんに対して、ステージによっては術前に化学療法を行ったほうが治療成績の向上が得られることが明らかになっています。このような患者さんには手術の前に化学療法をおこなっています。術前化学療法としては、DCF療法(5-FU、シスプラチン、ドセタキセルの3剤を併用した療法)やFP療法(5-FU、シスプラチンの2剤を併用した治療法)を当院では行っています。
3.進行食道癌に対する化学療法
手術後に再発した場合や転移などがあり手術ができない場合には、全身化学療法の適応となります。化学療法は期待される効果と副作用のバランスを見ながら治療を選択します。初回の化学療法としてはFP療法(5-FU、シスプラチン)を標準的化学療法としておこないます。FP療法によって効果が得られなかった患者さんに対しては、パクリタキセル療法、ドセタキセル療法などを行います。パクリタキセル療法、ドセタキセル療法が効かなくなってきた患者さんに対しては、S-1療法を行うこともあります。シスプラチンを併用した化学療法は主に入院で行いますが、その他外来で化学療法を行うこともあります。
4.食道がん化学療法に対する当教室での取り組み
当講座では、化学療法における新薬の治験や新規治療法の開発にも取り組んでいます。術前治療として行っているDCF療法について、これまで当院で行ってきたFAP療法(5-FU、シスプラチン、アドリアマイシン)に比べて再発リスクを減らすことができることが分かりました。DCF療法の治療効果は、標準的とされているFP療法に比べても有効であることが期待されています。
また様々な新規抗がん剤の治験を受託しております。特に近年では免疫チェックポイント阻害剤である抗PD-1抗体や抗PD-L1抗体に関する治験も実施しています。食道がんに対してもこれらの薬剤の効果が期待されています。
5.胃癌に対する術後補助化学療法
胃がんで根治手術を行った患者さんは早期の場合を除き、再発のリスクを減らすために手術後に化学療法を行うことが標準治療とされています。術後補助化学療法としては、S-1療法(S-1を手術後1年間内服)もしくはXELOX療法(カペシタビン、オキサリプラチンの2剤併用療法)を行います。
6.進行胃癌、再発胃癌に対する全身化学療法
手術後に再発した場合や転移などがあり手術ができない場合には、全身化学療法の適応となります。化学療法は期待される効果と副作用のバランスを見ながら治療を選択します。胃癌に対する化学療法における薬剤は、5FU系薬剤(5FU, S-1, カペシタビン)、プラチナ系薬剤(シスプラチン)、タキサン(パクリタキセル、ドセタキセル、ナブ-パクリタキセル)、イリノテカン、トラスツズマブなどがあります。これらの薬剤を用いたり、組み合わせたりします。
初回化学療法としては、SP療法(S-1、シスプラチン)やXP療法(カペシタビン、シスプラチン)を実施することが標準治療とされています。また、初回治療の前にはHER2検査を行います。HER2陽性例には分子標的薬であるトラスツヅマブの併用を行うことが最善の治療となりますので、がん細胞におけるHER2検査が重要です。HER2陽性の胃癌患者さんでは、これらSP療法やXP療法ににトラスツズマブを併用することが標準とされています。
初回化学療法が効かなくなってきた患者さんでは、パクリタキセルと分子標的薬であるラムシルマブの併用療法が最も有効性が示されている標準治療とされています。その他、イリノテカンやドセタキセル、ナブ-パクリタキセルを行うこともあります。
7.胃がん化学療法に対する当教室での取り組み
また様々な新規抗がん剤の治験を受託しております。特に近年では免疫チェックポイント阻害剤である抗PD-1抗体や抗PD-L1抗体に関する治験も実施しています。胃がんに対してもこれらの薬剤の効果が期待されています。