消化器癌先進化学療法開発学

 

肝臓がん・胆道がん・膵臓がん

1.膵臓がん、胆道がん、肝細胞がんに対する化学療法

膵臓がん、胆道がん、肝細胞癌がんに対する化学療法は、肝胆膵グループと協力・相談しながら診療を行います。肝胆膵グループの診療内容のページもご参照ください。

http://www.med.osaka-u.ac.jp/pub/gesurg/consultation/kantansui/suigan/index.html

2.膵臓がんに対する化学療法

膵臓がんに対する術前補助化学療法

根治切除が可能と考えられる膵臓癌に対する標準治療は手術を行ってから、手術を行ってから術後補助化学療法を行うこととされています。転移は見られないものの根治切除が難しいと考えられるような場合や根治切除を行ってもすぐに再発が予測されるような患者さんに対しては、手術の前に化学放射線療法(化学療法に放射線治療を併用する)や化学療法(ゲムシタビン+ナブ-パクリタキセル併用療法など)をおこなうこともあります。

膵臓がんに対する術後補助化学療法

膵臓がんで根治手術を行った患者さんは、再発のリスクを減らすために手術後に化学療法を行うことが標準治療とされています。術後補助化学療法としては、S-1療法(S-1を手術後6か月間内服)が最も標準的とされています。患者さんの体調や病気のステージなどによっては、ゲムシタビンでおこなうことや、化学療法を行わないこともあります。

進行したもしくは再発の膵臓癌に対する化学療法

手術後に再発した場合や転移などがあり手術ができない場合には、全身化学療法の適応となります。化学療法は期待される効果と副作用のバランスを見ながら治療を選択します。臓癌に対する化学療法における薬剤は、ゲムシタビン(ジェムザール)、エルロチニブ(タルセバ)、S-1(ティーエスワン)、5FU、オキサリプラチン(エルプラット)、イリノテカン(カンプト)があります。これらの薬剤を用いたり、組み合わせたりします。

 

手術で取りきれない場合や再発した場合の初回化学療法としては、FOLFIRINOX療法(5FU、レボホリナート、オキサリプラチン、イリノテカンを併用した治療法)や、ゲムシタビン+ナブパクリタキセル療法(GA療法)、ゲムシタビン単剤療法などを行います。一般的にFOLFIRINOX療法とゲムシタビン+ナブパクリタキセル療法とのどちらが優れているかという結論はまだ出ていません。しかしながらFOLFIRINOX療法は副作用の面からは高齢者などではあまりお勧めできないと考えられます。

 

初回化学療法が効かなくなってきた患者さんでは、使っていない抗癌剤を用いて治療していきます。一般的にはゲムシタビン(およびナブパクリタキセルの併用)を初回化学療法として使っていた患者さんには、S-1療法、FOLFIRINOX療法で実施していた患者さんにはゲムシタビン+ナブ-パクリタキセル療法をおこないます。

膵臓がん化学療法に対する当教室での取り組み

当講座では、化学療法における新薬の治験や新規治療法の開発にも取り組んでいます。特に最近では、手術前の術前治療として化学療法を併用することでさらに再発のリスクを下げて生存の延長につながることを期待しています。

3.胆道がんに対する化学療法

胆道がんに対する術後補助化学療法

胆道がんで根治手術を行った患者さんは、手術後に化学療法を行うことで再発のリスクを減らすことが期待されています。しかしながら具体的な術後補助化学療法の標準治療が定まっていないのが現状です。当教室では病気のステージなどによっては、進行胆道がんで標準治療とされるGC療法(ゲムシタビンとシスプラチン併用療法)やS-1、ゲムシタビン療法などをおこなうこともあります。

進行したもしくは再発の胆道がんに対する化学療法

手術後に再発した場合や転移などがあり手術ができない場合には、全身化学療法の適応となります。化学療法は期待される効果と副作用のバランスを見ながら治療を選択します。胆道がんに対する化学療法における薬剤は、ゲムシタビン、シスプラチン、S-1があります。これらの薬剤を用いたり、組み合わせたりします。

 

手術で取りきれない場合や再発した場合の初回化学療法としては、GC療法(ゲムシタビン+シスプラチン併用療法)が標準的でもっとも有効な治療法とされています。

 

初回化学療法が効かなくなってきた患者さんでは、S-1療法をおこないます。

胆道がん化学療法に対する当教室での取り組み

当講座では、化学療法における新薬の治験や新規治療法の開発にも取り組んでいます。さまざまな臨床試験グループに参加し、胆道がんの治療成績の向上につとめています。新薬の治験を受託して実施していることもあります。特に近年では免疫チェックポイント阻害剤である抗PD-1抗体や抗PD-L1抗体に関する治験も実施しています。胆道がんに対してもこれらの薬剤の効果が期待されています。

4.肝細胞がんに対する化学療法

進行したもしくは再発の肝細胞がんに対する化学療法

手術後に再発した場合や転移などがあり手術ができない場合、TACEが適応とならない場合には、全身化学療法の適応となります。化学療法は期待される効果と副作用のバランスを見ながら治療を選択します。肝細胞がんに対する化学療法における薬剤は、ソラフェニブがあります。

肝細胞がん化学療法に対する当教室での取り組み

当講座では、化学療法における新薬の治験や新規治療法の開発にも取り組んでいます。さまざまな臨床試験グループに参加し、肝細胞がんの治療成績の向上につとめています。新薬の治験を受託して実施していることもあります。特に近年では免疫チェックポイント阻害剤である抗PD-1抗体や抗PD-L1抗体に関する治験も実施しています。肝細胞がんに対してもこれらの薬剤の効果が期待されています。

病気に関するお問い合わせはこちら