TAKEDA LABORATORY | 大阪大学 大学院 医学研究科 竹田研究室
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メンバー
NAME 竹田潤二
RESEARCH FIELD

私はゲノムに秘められている情報を包括的に探って行くことに興味をもっています。それをすることで生体系をより深く理解できると思っています。採用しているアプローチは遺伝学的手法ですが、そのなかでも順遺伝学的手法に力をいれています。順遺伝学的手法は、表現型をまず探り、その後原因となる遺伝子を解析するもので包括的にゲノム情報を探索することに適していると考えられています。ES細胞を用いて遺伝子破壊する手法は、一般に遺伝子に着目してその後表現型を解析するので逆遺伝学と呼ばれています。
哺乳動物では効率の良い順遺伝学的手法は世界的に見てまだ成功していないと考えています。成功させるためには、(1)哺乳動物個体で包括的に遺伝子変異導入する手法の確立と(2)表現型を解析するため、一対存在する遺伝子の両方を同時に破壊する手法(両アレル破壊法)の確立が大切であると考えてプロジェクトを遂行しています。
(1)と(2)の手法が有機的に結びつくことで画期的な順遺伝学的手法が確立できることを期待しています。

(1) Sleeping Beautyというトランスポゾンを利用した包括的遺伝子変異導入法の樹立
我々は世界に先駆けてトランスポゾンが哺乳動物個体で効率よく転移することを発見(Horie et al PNAS 2001)。順遺伝学的手法を遂行する上で有効な技術になることを提唱し、その後のペーパーで実際に有効であることを証明しています(Horie et al MCB 2003)。
トランスポゾンシステムは生殖系列だけではなくて体細胞系列でも効率良く転位することが可能です。つまり他のシステムでは可能でないユニークな解析ができるはずです。ある組織(体細胞)で多くのトランスポゾンの転位が見られれば多くの遺伝子の機能を一個体で解析できうることになります。ただこの場合、片アレル変異だけでは表現型が表れないので(2)で示す両アレル変異導入法の確立が必須となります。


(2)ブルーム遺伝子改変による両アレル変異導入法の開発
ブルーム遺伝子が欠損したブルーム症候群と呼ばれる患者が存在し、それらの方の細胞では相同組み換え高頻度の起こり片アレル変異から両アレル変異に移行しやすい。実際にブルーム症候群の患者では、癌抑制遺伝子の両アレル変異に由来すると思われる腫瘍が多発します。そこでテトラサイクリンでブルーム遺伝子を制御できるES細胞を樹立し解析したところ効率良く両アレル変異が導入できることが判明しました(Yusa et al. Nature 2004). 現在、個体レベルでES細胞と同様に両アレル変異が導入できるか解析中です。

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