NEWS & TOPICS新着情報

【開催報告】第12回 大阪大学 健康・医療クロスイノベーションフォーラム「フェムテック分野における産学連携の可能性」(2023年10月16日開催)

  • 活動実績
  • 2023年11月8日

写真:パネルディスカッション「フェムテックに期待されるイノベーションと、今後の産学連携の課題」の様子

【開催日】 2023年10月16日(月)13:30~18:05
【開催形式】ハイブリッド開催(会場参加/オンライン・Zoom LIVE配信)
【場 所】 大阪大学大学院医学系研究科
      最先端医療イノベーションセンター 1階 マルチメディアホール
【参加者】 438名(会場参加者:79名、オンライン参加:359名)

プログラム詳細はこちら
講演の様子は公式YouTubeチャンネルにて一部公開予定

 大阪大学大学院医学系研究科・医学部附属病院 産学連携・クロスイノベーションイニシアティブ(以下、XII)では、“関西から、国際展開を見据えた健康・医療分野における研究開発や事業化を強力に推進していく”ことを目的に、大阪大学と様々な事業業態の方々が、企業間・組織間の垣根を越え、協働・共創するクロスイノベーションを創発することを目指し、「大阪大学 健康・医療クロスイノベーションフォーラム」を毎年開催している。

 第12回目を迎える今回は、女性の健康サポートの役割として近年注目されている「フェムテック」に着目し、「フェムテック分野における産学連携の可能性」をテーマに掲げ、ハイブリッド形式にて開催した。フェムテック(Femtech)とは、「Female(女性)」と「Technology(技術)」を掛け合わせた造語で、テクノロジーの活用により女性特有の健康問題の解決を目指す分野を指している。

 平成27年に「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(女性活躍推進法)」が制定され、働く場面で活躍したいという希望を持つすべての女性が、その個性と能力を十分に発揮できる社会を実現するために、女性の活躍推進に向けた行動計画の策定・公表等が301人以上の雇用労働者を有する事業主に義務付けられ、昨年の令和4年には法改正により雇用労働者が101人以上の中小企業も適用対象となり、女性労働者の職業生活における機会提供や家庭生活との両立に係る雇用環境の整備・支援が義務付けられている。働く女性は、月経による不調、妊娠・出産、更年期、働いている間を通してメンタルの問題、そして働く間に罹患のピークを迎える子宮頸がん、乳がんなどの様々な健康問題に直面しており、女性活躍推進には女性の健康サポートが必要である。本フォーラムでは、これらの女性特有の疾病や健康問題について大学及び産業界における最新の研究成果・取り組み等に関する講演・意見交換を通じて、今後の課題を抽出し、社会における女性の一層の躍進を図るべく、課題解決に向けて産学官連携によるイノベーションの創出を図り、研究開発の推進に繋げることを目指した。


[左:開会挨拶]大阪大学医学部附属病院  竹原徹郎 病院長
[右:基調講演]大阪大学大学院医学系研究科 医学専攻 産科学・婦人科学  木村 正 教授

 フォーラムは本学医学部附属病院長の竹原徹郎教授の開会挨拶に始まり、基調講演には、本学大学院医学系研究科医学専攻 産科学・婦人科学の木村 正 教授を迎え、「女性の一生における波 ~どのように乗り越えればいいのか~」と題し、セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス・ライツに基づいた女性の性と健康問題に関する総論的なご講演をいただいた。一般講演として、アカデミアからは、東京医科歯科大学の松﨑政代 教授、本学医学系研究科保健学専攻の遠藤誠之 教授、医学専攻の澤田健二郎 准教授、塚部昌美 助教に、各々、月経、骨盤臓器脱、更年期及び乳がんに関する女性の医療・ヘルスケアに関する最新の研究成果や研究動向についてご講演をいただいた。また、産業界からは、大日本印刷株式会社の亀井良介氏、三井住友海上火災保険株式会社の島 良一氏と株式会社BeLiebeの志賀遥菜氏に、当該企業におけるフェムテックに関する取り組みについて発表いただいた。

 続いて、XIIのオフィサーである岡田 潔 特任教授(常勤)から、本研究科・医学部附属病院における産学連携活動の概要・実績について紹介があったのち、パネルディスカッション「フェムテックに期待されるイノベーションと、今後の産学連携の課題」が行われた。パネルディスカッションでは、木村 正 教授をはじめご登壇いただいた講演者7名をパネリストに迎え、XIIの藤本 学ディレクターと岡田 潔オフィサーを座長として、フェムテック分野において、①医療・産学連携を推進してくために企業側に求められることは何か、②イノベーションの創出および産学連携を推進していくにあたって、医療側は何を提供できるのか、③今後産学連携を推進していくにあたっての課題とその解決方法は何か、を論点に活発な議論が展開された。最後に、藤本 学 医学系研究科副研究科長から閉会の挨拶があった。

 今回は、オンライン参加を含め合計400名を超える参加者があり、女性特有の疾病や健康問題に関する最新の研究成果や産業界の取り組みを広く発信するとともに、産学連携の推進にあたっての課題と女性の疾病・健康問題の早期発見に係る社会への啓蒙の重要性を共有することができ、有意義なフォーラム開催となった。