ARDSにおける肺傷害リスクを可視化する新技術「Lung stress mapping」の研究成果が2026年1月23日付で米国呼吸器学のトップジャーナル American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine に掲載され、2026年3月11日に大阪大学よりプレスリリースされました。
本研究では、食道バルーンで得られる肺生理学情報とCT画像を融合することで、肺内部に分布する「肺ストレス(肺傷害リスク)」を三次元的に可視化する新技術 Lung stress mapping を世界で初めて確立しました。従来の人工呼吸管理は、気道内圧や一回換気量など、肺全体の平均値に基づいて行われてきました。しかし実際の肺傷害は肺内で不均一に分布しており、局所的な過剰ストレスが肺傷害進行に関与すると考えられています。本研究では動物実験および臨床研究により、このLung stress mappingが肺傷害リスクの空間分布を可視化し、従来の指標よりも患者予後と強く関連する可能性を示しました。本技術は、人工呼吸管理を「平均値に基づく画一的管理」から「肺ストレス分布に基づく個別化人工呼吸管理(precision ventilation)」へと転換する基盤技術となることが期待されます。
現在、本研究グループではLung stress mappingで得られる指標の安全閾値を明らかにする多施設臨床研究を進めており、将来的には人工呼吸器関連肺傷害の低減につながる新しい人工呼吸戦略の確立を目指しています。