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ごあいさつ

ごあいさつ

治験ネットおおさか推進会議 会長
(独立行政法人国立病院機構 理事長)
楠岡 英雄

 治験ネットおおさかは、大阪府内の治験活性化を目的に、創設された地域治験ネットワーク(以下、NW)です。大阪府内の医療機関、医師会、製薬団体、自治体で構成された「創薬推進連絡協議会」の分科会として、2007年に発足し、2013年度からは共同IRB事業を運営しており、2018年3月より独立して運営しています。
 参加している医療機関は、府内5大学の附属病院、府立病院機構病院、国立病院機構病院等、国内においても治験実施体制の整備が行き届いた屈指の施設です。これらの施設は、それぞれ活発に治験を行っており、今後もその熱意は継続されていくことと思います。
 その一方で、国外へ目を向けると、高い症例集積性をもち、且つ、治験実施体制の整備が高度に進んだアジア諸国のメガホスピタルが立ちはだかっています。大阪府内有数の医療機関をもってしても、単独ではこのようなメガホスピタルには対抗はできません。
 そこで、治験ネットおおさかでは、海外のメガホスピタルに対抗できるような症例集積性と、あたかも1医療機関のように振舞えるような治験実施体制を整えることを目的に、府内の16の施設(※2018年6月現在)で治験NW体制を構築しました。その目的の達成のために、以下の活動を遂行しています。
①NWを通して行う治験(以下、NW治験)に関する各施設進捗状況の把握
②NW治験事務局とNW治験のIRB審査を大阪大学医学部附属病院へ一括化
③NWの手順書・マニュアル等を一本化し、可能な限り運用を統一
さらには、NW運営委員会等で実務者が定期的に会議を開催しており、各医療機関は顔の見える関係であり、まるで同じ医療機関のスタッフのようです。このような抜群の結束力で創薬・育薬に貢献していきたいと考えております。
 医薬品や医療機器の開発をされている製薬企業様、医療機器メーカー様の一助となれるよう、また、大阪府から革新的な医薬品、医療機器を創出し、患者さんの治療の選択の幅を拡大できるよう努めてまいります。
 大阪での治験実施を検討される際は、治験ネットおおさかをぜひご活用ください。
 今後とも、皆様方のご支援とご鞭撻をよろしくお願い申し上げます。

治験について

くすりの開発

一つの新しいくすりが生まれるまでには、莫大な費用(開発経費)と長い年月が必要です。製薬会社などの研究室で化学的に合成されたり、天然に存在している物質から抽出したりすることによって、「くすり」になる候補を選び出すことから始まります。
まず、品質試験や動物試験で、有効性と安全性を確認します。これらの試験をパスしたものだけが人に投与されます。


人と動物では体のしくみが違うので、動物試験の結果をそのまま人に当てはめることはできません。「くすりの候補」が「くすり」となるためには、人で有効性・安全性を調べなければなりません。
「くすりの候補」を国(厚生労働省)から「くすり」として認めてもらうために、人で有効性・安全性を調べることを『治験』といいます。
新しいくすりは、健康な人と患者さんの協力のもとに生まれてきます。

くすりの開発

治験には以下のような段階があります。

第1相試験

まず、ごく少ない量から少しずつ「くすりの候補」である「治験薬」を投与して、どのような作用が生じるのか、体の中でどのような動きをするのか等を調べます。ここで、ほぼ安全であると推定されると、次の段階に入ります。

治験薬
治験薬
第2相試験

同意を得た少数の患者さんを対象として「治験薬」の有効性と安全性を調べます。また使い方や使用量などについても検討します。

第3相試験

さらに多くの患者さんを対象として有効性や安全性を確認します。新薬としての有用性があるかどうかを見極める最終的な試験です。
実際の治療に近い形で効果と安全性を確認し、すでに承認されているくすりとの効果や副作用などについて比較を行います。

治験薬
くすりの誕生

くすりの誕生

動物実験や患者さんにご協力いただいた治験のデータをまとめ、厚生労働省の審査を受けます。審査をパスし、承認されることによって初めて、「治験薬」が「くすり」となり、製造・発売されます(一部例外があります)。

治験のルール

患者さんの安全と人権
治験は国の定められた厳しいルール「GCP(Good Clinical Practice: 医薬品の臨床試験の実施に関する基準)」に従って、参加してくださる患者さんの人権と安全の保護を最大限配慮しながら進めなければなりません。

インフォームド・コンセント(説明と同意)

医師はくすり候補の効果が期待される患者さんに治験の参加をお尋ねします。
説明文書をお渡しして、治験の目的・内容・予想される効果や副作用などについて説明します。治験について十分に理解されましたら、参加するかしないかをご家族と相談するなど十分に考えてから、患者さん自身に決めていただきます。
ただし、検査の結果により患者さんが希望されても参加できない場合もあります。
また、治験に参加することに一旦同意した後でも、いつでも(治験が開始された後でも)辞退することができます。お断りになっても、不利益を受けることは一切ありませんし、現在行われている最善の治療を受けることが出来ます。

薬のイメージ
家族のイメージ
薬のイメージ
インフォームド・コンセント(説明と同意)