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研究内容紹介

脊椎動物において、骨格は「形」を決定し、重力に対する支柱となると共に、骨髄を内包して造血の場を提供しています。さらに、カルシウムやリンなど、生命の維持に必須のミネラルを貯蔵し、活発に代謝を行ってこれらのミネラルの恒常性を維持すると いう重要な機能を担っている臓器でもあります。生命は、細胞質に組成が似た原始の海で誕生しましたが、その後、陸上生活に適応するために、骨格を獲得し、骨、腸管、腎臓におけるカルシウムやリンの輸送機構や制御ホルモンを進化させてきました。

胎児期から小児期にかけては、生涯において最大の成長期であり、この成長を担うのは四肢の骨のような長管骨の長軸方向への伸長です。長管骨は軟骨という 中間体を経て形成され、これを内軟骨性骨形成と呼びます。軟骨細胞は未分化な間葉系細胞から分化して肥大化し、種々の細胞外基質を産生しますが、最終的に は石灰化に至ります。石灰化は単なる物理的なカルシウムやリンの沈着ではなく、軟骨細胞や骨芽細胞が産生した基質蛋白質にハイドロキシアパタイトという形 で蓄積していく、空間的、時間的に制御された生物学的事象です。石灰化の障害はリンの欠乏状態やビタミンDの作用異常、アルカリフォスファターゼ活性の低下などさまざまな原因で起こります。私達の研究室では、骨・軟骨の分化・石灰化の分子メカニズムと、カルシウム・リンの代謝に興味をもって、研究を行っています。現在、以下のようなプロジェクトを展開中です。

  1. 骨の成熟、石灰化にかかわる分子の同定と解析
  2. リン恒常性維持機構の解析