胎児期から乳幼児期は子どもの発達において極めて重要な時期です。最近の研究では、子どもの発達は遺伝的な要因と環境要因の両方によって左右されることがわかっています。
						ところが、今の世の中が子どものこころが健やかに育つのに良い環境かどうかという点に関しては、多くの方が疑念を抱いておられます。子どもを取り巻く環境はここ数十年で大きく変わりました。東京オリンピック開催の頃には非常な貴重品であったテレビ受信機は、今や一人一台が当たり前になっています。好きな番組は録画して簡単に24時間楽しめるようになりました。ゲーム機器を持っていない子どもを探すのに苦労しますし、子どもは家庭内でゲームを楽しむだけでなく、電車での移動中、病院の待ち時間、または、診察の間もゲーム機を手放しません。子どもたちは深夜であってもインターネットに接続し、多様なコンテンツをブラウズすることができます。これらマルチメディアの発達やゲーム機器の進化とは裏腹に、子どもの戸外での活動は少なくなり、体を使った遊び、想像力を使った遊びは減っているようです。また、当然親子の会話の時間は減っていることでしょう。子どもの生活では昼夜のメリハリが弱まり、睡眠時間も確実に減っています。
						ゲームやテレビ視聴、睡眠時間の短縮、親子関係の希薄化は子どもの発達にどのような影響を与えるのかについて科学的な結論を下すには、長期間にわたって、精密に調査していくことが必要です。多くの方が危惧を感じていますが、現段階では、国策として問題にされるまでデータが十分出揃っているとは言えません。
						私たち環境関連分子解析部門では、発達に問題を抱えた多くのお子さんを詳しく調べていくことにより、環境の発達に及ぼす影響について解析していきます。その目的のために、私たちの部門は、大阪大学医学部附属病院小児科の協力の下、『親と子の発達相談室』、『発達障害パッケージ入院』等により、お子さんの診断名を精密に確定し、各人の特色を評価し、画像診断等の医学的検査を行うとともに、どのように生活を送っているのかを調べています。
						特に我々が重点をおいているのは、以下の2つです。
						1)子どもの睡眠不足が発達に及ぼす影響について
							我々は人生の3分の1を眠って過ごしており、睡眠は心身のリフレッシュに非常に重要ですが、子どもでは、睡眠は発達にも大きな影響を及ぼすことが示されています。ところが、日本の子どもは、睡眠時間が短いこと、夜更かしが多いことでは世界でもトップクラスです。このことは、今の子どもが成人した時に、どのような影響を日本に与えるのでしょうか?私たちは、良い睡眠、悪い睡眠がどのように発達に影響を与えるのかを、質問票や、睡眠の詳しい検査、発達の検査を組み合わせることにより、調べていきたいと考えています。
							
						2)発達障害を引き起こす脳の状態を調べる
							私たちはプロスタグランジンD2という物質が脳における炎症を強くする物質であるということを、色々な疾患で確認しています。自閉症の方の脳を調べると、脳の中で炎症が起こっているという証拠が見つかることがあります。私たちは、広汎性発達障害が起こってくるその途中に炎症が影響を及ぼしているのか、いるとするならば、プロスタグランジンD2が何らかの影響を及ぼしているのかを調べていきます。
							スタッフ
							
兼任	教授	下野	九理子	http://www.dma.jim.osaka-u.ac.jp/view?u=1443		
専任	特任教授(常勤) 	谷池	雅子	http://www.dma.jim.osaka-u.ac.jp/view?u=5579
兼任	教授	毛利	育子	http://www.dma.jim.osaka-u.ac.jp/view?u=7674
専任	教授	橘	雅弥	http://www.dma.jim.osaka-u.ac.jp/view?u=10000719
専任	助教	吉崎	亜里香	http://www.dma.jim.osaka-u.ac.jp/view?u=1870
兼任	助教	山本	知加	http://www.dma.jim.osaka-u.ac.jp/view?u=3357
専任	特任助教(常勤)	村田	絵美	http://www.dma.jim.osaka-u.ac.jp/view?u=5228
専任	特任助教	菱谷 好洋			
兼任	助教	岩谷	祥子	http://www.dma.jim.osaka-u.ac.jp/view?u=10001747
兼任	助教	平田	郁子	http://www.ugscd.osaka-u.ac.jp/cdn/staff/staff.html
	事務補佐員	鈴木	歩
	特任事務職員	山口	恵