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研究成果

平成26〜27年度: 公募研究17

脈管内腺構造の回転と浸潤・転移
研究代表者: 清川 悦子
連携研究者: 湊 宏
連携研究者: 佐々木 成朗
研究成果

これまでの本領域での研究から、以下のことを明らかにしました。即ち、(1)MDCK細胞から成る2次元シートと3次元類器官の構成脂質を質量分析法を用いて解析したところ、2次元シートではスフィンゴ脂質群が上昇していることがわかりました。類器官の成長段階や癌遺伝子K-Rasの活性化型変異体の発現で脂質構成が異なることも明らかにしました(J Biochem., in press)。(2)類器官形成の後期で発現量が上昇する分子群をマイクロアレイによって同定し、そのうちの一つRipply1という分子が細胞周期特異的に発現が変化することを類器官のライブイメージングで観察しました。蛋白質分解はTLE1という転写抑制因子と会合することで核内で特異的に引き起こされることを明らかにしました(BBRC, 2015)。(3)生体における効率の良いイメージングのために、K-Rasに変異があることが既知であるマウス大腸がん由来の細胞株colon26を脾臓に打ち込み、肝臓から浸潤した細胞(LM4)を単離しました。colon26が肝臓の末梢側で転移巣を形成するのに対し、LM4は門脈本幹から浸潤していることがわかりました。試験管内では、colon26は紡錘形で、LM4は四角い形態を取り、サイトカインや増殖因子の発現も異なることがわかりました。現在のところこの細胞株に各種蛍光バイオセンサーを発現させ生体内イメージングを試行しています(未発表)。(4)K-Rasを誘導的に発現させるMDCK類器官を数日にわたって安定的に観察し、回転を抑制する薬剤のスクリーニングを開始しました(未発表)。