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HOME研究内容 > ボルナ病ウイルス(BDV)

研究内容詳細

精神疾患とウイルス

精神疾患の病因として、寛解・再発を繰り返すことや冬季に生まれた子供に罹患率が高い傾向があることなどから、根強い「ウイルス原因仮説」があります。しかし、これまでに特定のウイルスと精神疾患との関連を明確にした報告はありません。一方で、動物に感染させると、行動異常を認める神経指向性ウイルスがあるのは事実です。その代表的なものが、BDVです。私たちは、BDVがヒトの精神疾患の原因となり得るかは別として、少なくともBDV感染によって精神疾患と類似した脳内病態を示していると考え、BDV感染の病態解析を行っています(1)。

BDVと自閉症スペクトラム

基礎研究者はひとくちに「精神疾患」とまとめて表現しがちですが、かなりヘテロな疾患概念です。本来もっと疾患概念に沿って、厳密に解析をしていかなければなりません。BDV感染動物で認められる行動異常にもっとも近いのは、自閉症スペクトラムだと考えられます。私たちは、BDV感染の病態にIGFシグナルの異常が関わることを見出しました(2)。ちょうどその頃、自閉症スペクトラムの治療として、米国でIGFシグナルを是正する治験が開始されました。このように、ウイルス感染症の病態解析は、類似した病態改善のヒントにつながる可能性があるのです。

その他の神経ウイルスの病態解析

BDV以外にも、神経指向性で様々な病態を示すウイルスがいます。麻疹ウイルスによる亜急性多発性全脳炎(SSPE)(3)、ムンプスウイルスによる無菌性髄膜炎や難聴などについてもいずれ研究対象に加えていく予定です。

細胞核内での非自己RNAの挙動解析

BDVのもう一つの特徴は、RNAウイルスとしては珍しく、核内で増殖することです(4)。この特徴を利用して、細胞核内でのウイルスRNAという非自己RNAの挙動を解析しています。同じく、核内で増殖するインフルエンザウイルスと比較しながら研究することで、核内非自己RNAのダイナミクスについて普遍的な概念の発見を目指しています。

大学院生募集中!

一緒に研究してくれる人募集中です!まずは、本田(thondavirus.med.osaka-u.ac.jp)までご連絡ください。また、ボルナウイルス感染疑いの動物検体の抗ボルナウイルス抗体検査もご相談受け付けております。

参考文献

1. Honda T. Neuropathogenesis of persistent infection with Borna disease virus. Uirusu. 2015;65(1):145-54.

2. Honda T, Fujino K, Okuzaki D, Ohtaki N, Matsumoto Y, Horie M, Daito T, Itoh M, Tomonaga K. Upregulation of insulin-like growth factor binding protein 3 in astrocytes of transgenic mice that express Borna disease virus phosphoprotein. J Virol. 2011 May;85(9):4567-71.

3. Honda T., Yoneda M., Sato H., Kai C. Pathogenesis of Encephalitis Caused by Persistent Measles Virus Infection. Encephalitis 2013:251-262.

4. Honda T, Tomonaga K. Nucleocytoplasmic shuttling of viral proteins in borna disease virus infection. Viruses. 2013 Aug 8;5(8):1978-90.

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