この度、令和3年2月1日付で大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻・生体物理工学講座の教授に就任いたしました。
私は、1995年に大阪大学医学部を卒業後、大阪大学第二内科(松澤佑次教授)に入局いたしました。そして大阪大学医学部附属病院にて医師としての研鑽を開始しました。その後市立川西病院、兵庫県立西宮病院にて消化器内科医として診療に従事させていただきました。1999年に大阪大学大学院に入学し、非常に希な先天性尿素サイクル異常症の病態解明、遺伝子解析の研究に従事させていただく機会を得、patient oriented researchの手法を深く学ぶことができました。その後第二内科で発見されたアディポネクチンの研究を開始し、肥満による肝疾患進展の病態解明について研究を開始しました。そして、肥満関連疾患である非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD: nonalcoholic fatty liver disease)の臨床・基礎研究を開始しました。2005年には臓器別再編成により、消化器内科(林 紀夫教授、竹原徹郎教授)でNAFLDの研究をさらに発展させ、現在も研究を継続しています。
NAFLDは最大の慢性肝疾患であり、本邦で約2000万人もの罹患者がいます。現時点ではNAFLDの診断は超音波検査などの画像診断に加えて、肝生検による組織学的診断が必須です。しかしながら肝生検は侵襲性があり、経過観察の中で頻回に行える検査ではありません。2011年から保健学専攻・生体病態情報科学講座(三善英知教授)にて、非侵襲的診断法(NIT: non-invasive test)開発のため、NAFLDのバイオマーカー開発を行う機会をいただきました。複数のヒト・マウスのバイオマーカーを見いだすことに成功し、これらバイオマーカーの生物学的機能解明についての研究も進めております。これまで、臨床研究と基礎研究を両輪として研究を推進して参りましたが、今後もこのスタイルを継続していきたいと考えております。
この度主宰させていただく病態超音波医学研究室ではこれまでの研究に加え、超音波検査を用いてNITの開発を進め、バイオマーカーと組み合わせたより精度の高い消化器疾患のNIT開発を目指していきます。生検不要の精度の高いNIT開発によって、患者負担の軽減、高リスク群の囲い込み、治験薬開発に貢献できるものと確信しております。このような研究を推進していくためには医療職のみならず多職種連携によるチームが重要だと考えています。興味を持たれた方は遠慮無くご連絡ください。一緒に楽しく研究していきましょう。