大阪大学大学院医学系研究科

血液・腫瘍内科学

Department of Hematology and Oncology, Graduate School of Medicine, Osaka University

当研究室では造血幹細胞移植を含めたあらゆる血液疾患臨床を実践することはもちろん、それだけでなく世界で通用する新たな血液疾患の治療を行うための基盤的研究をおこなっております。

大阪大学 血液・腫瘍内科

研究グループ

1. 免疫細胞治療開発研究グループ

我々は血液がんに特異的に発現する細胞表面抗原を同定し、それを標的としたCAR-T細胞療法を開発することを一貫して行っています。既に、多発性骨髄腫に対する新規CAR-T細胞の開発に成功しました。さらに現在、急性骨髄性白血病・各種固形がんにおいても同様に新規標的抗原の同定とそれを標的としたCAR-T細胞の開発を行っております。また、他家由来の細胞療法としてCAR-NK細胞の開発にも着手しております。さらに、免疫学のメッカである阪大で生み出された様々な新知見を応用した新規細胞遺伝子治療・免疫療法の開発も目指しています。

  • Hosen N, et al. The activated conformation of integrin beta7 is a novel multiple myeloma-specific target for CAR T cell therapy. Nat Med. 23, 1436-1443, 2017.

2. 血小板疾患研究グループ

血小板は生理的止血、病的血栓の形成は勿論のこと、近年では免疫機構、臓器再生などにおいても多彩な役割をしていることが明らかになってきています。特に血小板機能の中核を担うインテグリンαIIbβ3(GPII/IIIa)の活性化制御メカニズムを明らかにすることは、新しい抗血小板療法開発のために必須です。我々は血小板無力症をはじめ、多くの血小板機能異常症の解析を通じて血小板活性化メカニズムの一端を明らかにしてきましたが、現在その分子機構解明についてαIIbβ3を中心に更なる解析を続けております。またITPおよび先天性血小板減少症の解析から血小板減少のメカニズム解明およびその治療法の開発を進めております。

  • Kato H, et al. Human CalDAG-GEFI deficiency increases bleeding and delays αIIbβ3 activation. Blood. 2016; 128: 2729-2733.
  • Kiyomizu K, et al. Recognition of highly restricted regions in the β-propeller domain of αIIb by platelet-associated anti-αIIbβ3 autoantibodies in primary immune thrombocytopenia. Blood. 2012; 120: 1499-509.
  • Akuta K, et al. Knock-in mice bearing constitutively active αIIb(R990W) mutation develop macrothrombocytopenia with severe platelet dysfunction. J Thromb Haemost. 2020; 18:497-509.

3. 造血環境研究グループ

我々のグループは、血液がんの腫瘍細胞だけでなく、腫瘍細胞を取り巻く骨髄中の微小環境に着目した研究を行っています。抗がん剤治療を行った後に骨髄微小環境中に残存する血液がんは再発の原因となり、さらに治療抵抗性となります。これまでに我々は、抗がん剤や放射線照射を行った後の骨髄環境がどのように変化するのかを明らかにしてきました。現在、血液がんが治療抵抗性を獲得するメカニズムを解き明かす研究を進めています。さらに骨髄微小環境にアプローチすることによって、血液がんを制御する新たな治療法を開発することを目指しています。

  • Sudo T, et al. Group 2 innate lymphoid cells support hematopoietic recovery under stress conditions. J Exp Med. 218, e20200817, 2021.
  • Ichii M, et al. Signal-transducing adaptor protein-2 delays recovery of B lineage lymphocytes during hematopoietic stress. Haematologica. 106, 424-436, 2021.
  • Toda J, et al. Signal-transducing adapter protein-1 is required for maintenance of leukemic stem cells in CML. Oncogene. 39, 5601-5615, 2020.

4. 造血幹細胞研究グループ

造血幹細胞は自己を複製しながら生涯にわたって様々な血液細胞を供給する能力を持っています。臨床では血液難病に対する移植・再生医療の根幹を支える重要な細胞です。私達の研究グループは造血幹細胞の生理的な特質の解析に取り組み、新規表面抗原や分化制御分子を数多く発見してきました。発見した分子が造血機構においてどのような役割を果たしているか、白血病などの血液悪性腫瘍とどのように関連しているかも解析しています。このような基礎的な研究を継続するとともに、その成果を、血液難病に対する造血幹細胞を用いた新しい治療方法の開発に役立てることを目指しています。

  • Shingai Y, Yokota T, et al. Autonomous TGFβ signaling induces phenotypic variation in human acute myeloid leukemia. Stem Cells. in press, 2021.
  • Ueda T, Yokota T, et al. Endothelial Cell-Selective Adhesion Molecule Contributes to the Development of Definitive Hematopoiesis in the Fetal Liver. Stem Cell Reports. 13, 992, 2019.
  • Doi Y, Yokota T, et al. Variable SATB1 Levels Regulate Hematopoietic Stem Cell Heterogeneity with Distinct Lineage Fate. Cell Reports. 23, 3223, 2018.

5. 赤血球疾患(PNH)研究グループ

我々は、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)を中心とした溶血性貧血の研究を通じ、造血不全疾患における幹細胞クローン拡大機序の解明と、補体関連疾患の病態解明と治療法開発に一貫して取り組んで参りました。現在、造血不全下に非腫瘍性に拡大するPNHクローンの遺伝子解析を通じ、造血のホメオスタシスの解明に取り組んでおります。また寒冷凝集素症(CAD)や難治性AIHAの他、難治性ITPなど、補体に関連した血液疾患の研究と治療開発に取り組んでおります。

  • Nishimura J, et al. Genetic variants in C5 and poor response to eculizumab. N Engl J Med. 370(7):632-9, 2014.
  • Osato M, et al. Complement and inflammasome overactivation mediates paroxysmal nocturnal hemoglobinuria with autoinflammation. J Clin Invest. 129(12):5123-5136, 2019.

6. 臨床研究グループ

我々は白血病や多発性骨髄腫、悪性リンパ腫といった血液悪性疾患のみならず、PNH、ITPといった赤血球・血栓止血系の異常をともなう疾患についても幅広く診断・治療をおこなっております。また年間30例前後の造血細胞移植をおこなっており、患者さんの病状に合わせて骨髄・末梢血幹細胞・さい帯の適切なドナー選択を行い治癒を目指しています。2020年より新規細胞療法であるCAR-T療法を開始しております。一方各種新規薬剤の治験(臨床試験)や医師主導型の臨床研究を行い、ユニークな視点でのエビデンスの創出を目指しております。

  • Kusakabe S, et al. Pre- and post-serial metagenomic analysis of gut microbiota as a prognostic factor in patients undergoing haematopoietic stem cell transplantation. Br J Haematol. 188(3):438-449, 2020.
  • Konishi T, et al. Low diversity of gut microbiota in the early phase of post-bone marrow transplantation increases the risk of chronic graft-versus-host disease. Bone Marrow Transplant. 2021 Mar 8, Online ahead of print.

Publication List

主な研究会スケジュール

2021年

2月
  • Hematology young expart seminar ~未来の血液内科医、ただいま診断中!~
  • 日  時:2021年2月27日(土)
  • 形  式:オンライン
  • 詳  細:症例検討会
  • 特別講演:京都大学大学院医学研究科 血液・腫瘍内科学 助教 北脇 年雄 先生 『進化する白血病の治療(CML,ALL)』
  • https://www.facebook.com/events/420435326057139/
  • 共催:阪大CBC Bristol Myers Squibb
4月
  • 若手医師のための血液内科入門
  • 日  時:2021年4月17日(土)
  • 形  式:オンライン
  • 詳  細:症例検討会
  • 特別講演:国立がん研究センター中央病院 血液腫瘍科長 伊豆津 宏二 先生 『悪性リンパ腫の最新診療』
  • https://www.facebook.com/events/193229149239938/
  • 主催:中外製薬株式会社
5月
  • 第60回 北摂血液疾患談話会
  • 日  時:2021年5月22日(土)
  • 形  式:オンライン
  • 詳  細:症例検討会
  • 特別講演:大阪市立大学大学院医学研究科 臨床感染制御学 教授 掛屋 弘 先生 『血液内科医が知っておくべき感染症診療の基本』
  • https://www.facebook.com/events/1588444438184413/
  • 共催:北摂血液疾患談話会 ・ 大日本住友製薬株式会社
6月
  • 阪大血液・腫瘍内科グループ説明会
  • 日  時:2021年6月12日(土)
  • 形  式:オンライン(ハイブリッド形式からフルリモート形式へ変更しました。2021.05.24)
  • 詳  細:説明会
  • 事前登録:https://forms.gle/aDUGvSzPvHSnKsAv7
  • https://www.facebook.com/events/1730633977116325/
  • 阪大血液・腫瘍内科グループ説明会 を開催いたします。血液・腫瘍内科へ興味を持っている医学部生・研修医へ向けて、説明会を開催いたします。多くの関連病院も参加し、ご質問いただける絶好の機会です。ぜひ皆様お気軽にご参加下さい。
11月
  • 第61回 北摂血液疾患談話会
  • 日  時:未定
  • 場  所:インターネットを活用したライブ配信
  • 詳  細:症例検討会
  • 特別講演:未定
  • 共催:北摂血液疾患談話会・武田薬品工業株式会社

2021年4月現在

> 2020年の主な研究会スケジュール