「秋つらつら」

  青空に飛び回る赤とんぼは秋の到来を告げていますが、机の上の赤はと言えば、一言日誌当番を知らせるポスト型の貯金箱。過去に山本さんが『オアシスのような』と表現していらっしゃいますが、私にとっては、『真っ赤に燃える毒キノコ』。そう、秋はやっぱりキノコです。エノキ、ヒラタケ、マツタケ、シメジ。大好きなナメコは勿論ですが、ハナビラタケやサルノコシカケのような、見目麗しい実力派達も捨てがたい。キノコではありませんが、加藤研の実力派たちも秋本番。11月のゲノムひろば準備に余念がありません。加藤研の秋は、ゲノムひろばに始まって、ゲノムひろばに終わるようです。 コアメンバーでない私の秋はといえば、読書の秋。新しい順に『日本の科学/技術はどこへいくのか』by中島秀人、そして『πの歴史』byペートル・ベックマン、『世論』byウォルター・リップマン等を読み直し、1人にやける京の秋。歴史的事実や現在の社会状況を、1つの軸の上に構成していく論理に頷き、時として顔を出す意外な展開に目を見張る過程には、えもいわれぬ妙味がございます。見張った両目をそのままに、ふと窓の外に目をやって、「あ、降りる駅を過ぎてしまった・・・」と慌てふためく秋の夜に飛ぶカブト虫・・・。 (ひがしじま)

「三都物語-ゲノム講演編-」

 牧菜さん、伊東さんに続いて報告です。早くもこのひとこと日誌も一周しました。ちょうど5か月で1周ですから、だいたい一年に一人2回といったペースでしょうか。加藤研の人数が増えたことを実感するに足る数字です。  ところで、去る7/28, 8/9, 8/13に駿台予備学校主催のSummer Fairというイベントに招かれて京都、神戸、大阪にてヒトゲノムマップについての講演を行いました。 京都での公演は京都新聞に取り上げられたということもあり、一般の方も多数集まり、総勢150名、満員御礼でした。神戸、大阪は駿台生が主で、一般の方としては親御さんや現役学校教員がパラパラといった感じでしょうか、それでも100名ちょっとは集まりました。  京都では転写、翻訳といった基礎知識についても相当な時間を割いて触れ、その後にヒトゲノムマップの見所を一挙解説!!前半部に時間を割きすぎたために大幅に時間延長してしまいましたが、さすがゲノムに興味があって集まってくださった方々だけあって、延長戦にも熱心につきあってくださりました。アンケートによるオーディエンスの満足度は84.4%。  次の神戸では京都での延長の反省を活かし、前半部を大幅カットで臨みましたが、オーディエンスの満足度はさほど変わらず84.2%。終了後、省いた箇所に関して多数の質問をいただいたので、今度はカットしすぎたと反省。  京都、神戸の反省を活かし、満を持して遠征した大阪。先2回の経験で得たつぼをつきまくる。延長もほどほどに終わった時には、どやー!!という感じ。手応え通りの満足度95.9%!!  個人的にはもう少し改善の余地があるので、ひょっとしたら100%もいけるのではないかと思いながらも、3都物語は幕を閉じました。 (おまけ) 【かなりウケがよかった話題】 榊先生が小泉さんにCD-ROMを渡してゲノムの解説 染色体番号の付け方 利根川進博士 アルデヒド脱水素酵素のSNP カドヘリン X染色体 v.s Y染色体 (加納圭)

「株式会社設立のお知らせ」

暑い日が続きますが、いかがお過ごしでしょうか。ごぶさたしております、加藤 牧菜です。2年間、本当に楽しく過ごさせていただいた加藤研を離れ、2006 年7月21日、株式会社オフィスマキナを設立いたしました。サイエンス・コ ミュニケーションの場を幅広くプロデュースすることが、最も大きな目的です。 バイオや生命倫理に関するイベント企画制作のほか、調査研究のお仕事や、クラ シック演奏会のプロデュースも継続してまいります。 これまで支えてくださったみなさまのおかげで、なんとか会社設立にたどりつき ました。特に加藤研での経験は、一生の宝物です。新しい研究室の立ち上げ。異 分野の背景を持つメンバーの持ち寄る刺激的な情報。大きなプロジェクトの一翼 を担う責任感。たくさんの素敵な方々との出会い。京都の街。そして、初めての 挑戦をいつも寛大に見守ってくださった加藤さんのはげましは、本当に貴重でした。 さて、ひとつ宣伝ですが、この7月から、日経BP社のバイオ情報メール 「BTJ/HEADLINE/NEWS」の中で、毎月初めの金曜日にエッセイを執筆させていた だいております(来年6月まで)。ご興味ございましたら、日経BPのサイトよ りお申し込みくださいませ(無料で登録できます)。 これからも皆様のお役に立つ「場」をご提供できるよう努めてまいります。今後 とも、どうぞご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。 株式会社オフィスマキナ 代表取締役 加藤牧菜

「国際生化学 ・ 分子生物学会議」

 「第20回国際生化学 ・ 分子生物学会議」に参加してきました。国際生化学 ・ 分子生物学会議は3年ごとに開催されている学会です。今大会は日本生化学の第79回大会および日本分子生物学会の第29回年会を兼ねて開催されたもので、“Life: Molecular Integration & Biological Diversity”(生命:分子の統合と生物の多様性)を基本コンセプトに、11のプレナリーレクチャー、約90のシンポジウム、約6000題のポスターセッションが催されました 今回、私の参加した最大の目的は「Education(教育)」のセッションを観ることでした。規模の大きな学会では発表演題をテーマに合わせて区切っており、今回その項目に初めて「Education」が加わりました。他のセッションがすべて「Morphogenesis(形態形成)」や「Stem cells(幹細胞)」などといった実験系であることを考えると「Education」は特殊なセッションです。しかし、新たに「Education」の項目が作られたことは、非常に価値のあることだと考えています。なぜなら、学会に訪れた実験研究者が「Education」のセッションを観ることによって、自分たちの研究を取り巻く教育問題、さらには社会問題を知ることができるからです。またそれによって、研究者が自分たちの研究を、社会からの目線で見つめ直す機会も生まれてきます。しかし、残念なことに今回の「Education」の出展演題数は多いとは言えませんでした。一般演題として申し込めるポスターセッションでは「Education」では6題のみでした(うち加藤研からの出展2題)。 今後、分子生物学会のような研究者が集まる学会で、科学コミュニケーションに携わる人たちが研究成果を発表することは重要だと考えています。科学コミュケーションを研究する組織、科学コミュニケーターを養成する組織は近年増えています。科学コミュニケーション活動を活性化し、そして維持するためにも、これらが互いに連携しあうことは重要な課題です。しかし、私たち科学コミュニケーションに携わる人たちが、現場の研究者と連携することも重要です。実際に科学を進展させる発見は現場の研究者によって生み出されます。本当に社会に必要な科学を推進していくためには、現場の研究者とのコミュニケーションが必要です。私は現場の研究者とのつながりを保ち、科学コミュニケーションのありかたを試行錯誤していきたいと思います。 来年の分子生物学会では、加藤研のメンバーもさらに積極的に出展し、また他の科学コミュニケーションに携わる人たちの出展も増加することを願っています。 (白井哲哉)  

「つぶやき」

はじめまして、4月から加藤研究室に仲間入りした川上です。 W杯が始まりましたね。 日本は黒星スタートしてしまいましたが、背水の陣で望む残り2戦が、より緊迫した面白い試合になるんじゃないかという新たな楽しみが増えた気もしています。 世間ではサッカーW杯が盛り上がっていますが、かれこれ十数年バスケットボールに慣れ親しんできた私には、先週から始まっているNBAファイナルの行方も気になるところです。 さて、研究室の活動について。 先週末に、プラネタリウム特別番組「宇宙と細胞に物語をみつけました!」の1回目の開催を無事に終えることができました。 新メンバーとして初めて実践活動に関わった私にとっては、刺激的な経験になりました。 開催して新たに見えた課題もたくさんありますが、2回目の開催、さらには新たな研究活動に活かされればと思います。 また、今年の秋に開催されるゲノムひろばに向けた取り組みも始まりました。 その他にも、様々な実践活動が芽生えるのも加藤研の魅力でしょう。 これからどのような科学コミュニケーションが展開されるのか、研究室の中にいても予測不可能ですが、その息吹を感じながらワクワクした日々を過ごしています。 (川上雅弘)

『サッカーW杯』

もう沖縄、九州と「梅雨」を迎え、 京都の街にも「梅雨」の足音が聞こえ始めている今日このごろ、いかがお過ごしでしょうか。 初めまして、今年度より仲間入りさせていただきました松田健太郎と申します。 今ホットな話題といえば、やはりもうすぐドイツで行われるサッカーW杯ですね。 日韓共催で行われた2002年のサッカーW杯の時と同じ、いやそれ以上の盛り上がりがあることは間違いないでしょう。 はてさて、日本代表はどこまでやってくれるのでしょうか?楽しみです。 そういえば、今年はすでに2つのスポーツの祭典がありましたね。 一つはトリノオリンピック。荒川静香選手が金を取ったことは皆さんご存知のことでしょう。カーリングも今は時のスポーツですね。 もう一つはワールドベースボールクラッシック(WBC)。日本代表が見事優勝しました。多くの人が手に汗を握り、WBCをテレビで見たことだと思います。 ・・・と、これでは単なるスポーツ好きの人で終わってしまうので方向を変えて。 このようなスポーツをテレビで見ていると、必ず「解説者」っていう人がいますよね。彼らがいるおかげで我々は全く知らない競技でもその競技のことを知ることができ、結果楽しんで見れるのだと思います。 では科学の分野ではどうでしょうか? この分野で言う「解説者」と言えば博物館の学芸員や、日本科学未来館のインタープリターなどが思い浮かびます。 つまり、面白い科学をやさしく伝えてくれる人たちです。 ただ、彼ら「解説者」がいて本当に意味がある時は、我々個人がその対象に興味を持ったときだという風に感じます。 スポーツは常にテレビといったメディアに現れており、興味を生じさせるきっかけが多くあると感じます。さらにそこに「解説者」がいることで知らなかった競技でもある程度の理解ができます。そういう意味でこの「解説者」は有意義な存在だと言えます。 しかし科学となるとその露出はずっと減り、触れるきっかけが少なく感じます。また、たとえ「解説者」がいたとしても彼らから情報を得られるのは、あくまでも科学館ないし博物館へ訪れる人、つまり科学に興味を持っている人だけなのでは、と感じます。前者の「解説者」と異なりとてももったいなく感じます。 もっと科学の「解説者」を「活用」していくために今必要なのは科学に興味を持つきっかけを提供することなのではないかと感じています。そしてその場を通して科学に興味を持ってくれる人が増えれば、科学の「解説者」の存在がずっと大きく、有意義なものになると感じます。当然、テレビを見て解説を聞くように、「科学」を見ながら解説を聞けるという意味でも、とても有意義だと思います。 とにかく誰しもがスポーツに興味をもち、それを見て楽しむように、科学にも興味を持ち、科学を「楽しんで」もらえるようなこれからになればなぁ、と思います。「楽しむ」といっても、ただ科学の良い面だけを知るということではなく、科学が社会に見せる悪いと感じるような面も知るという意味を含めて理解して頂けるとありがたいです。 誰しもが科学というものを多角的に考えてもらえるように働きかけられたらな、と思う次第です。 いろいろ綴りましたが今はやはりサッカーW杯が大変楽しみです。 (松田健太郎)