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新・内科専門医制度の概要(2021年8月1日版)

わが国の新たな専門医制度が、2018年4月より始まりました。内科領域では、2021年7月4日に第1回の(新)内科専門医試験が実施されました。新たな制度での一期生となる専門医がまもなく誕生します。このような現状ですが、サブスペシャルティ領域をはじめ、未だに制度が定まっていない部分もあります。また、2022年度の募集スケジュールもまだ(2021年8月1日現在)公開されていません。領域によっては都道府県シーリングもあり、これから専門医を取得しようとする専攻医、研修医、医学生の皆さんには不安もあるのではないかと思います。そこで、専門医機構や学会から公開されている情報をもとに、これから専門医、特に内科専門医を目指す先生に向けて、現状を整理してみたいと思います。前回記事も参考にしてください。

内科領域に関しては、多くの場合、基本領域として内科の専門研修を行い、その後にサブスペシャルティ研修を行うことになります。内科専門研修はプログラム制で行うこととされており、すなわち「所定の研修を修了するために年次の計画を立て、これを実行するための制度」にのっとって研修することになります。プログラム制は研修の期間(内科の場合は3年間の研修が基本)も内容もあらかじめ決められている、というイメージです。一方でサブスペシャルティ研修についてはまだ定められていない部分も多いのですが、プログラム制で研修する場合とカリキュラム制で研修する場合の両方が考えられます。カリキュラム制とは、「期限の定めを設けずに研修を受け、基準を充足した時点で専門医資格取得を可能とする仕組み」と定義されています。期限を決めず、必要な症例や手技の取得が終わったら専門医試験を受けるという形であり、旧制度で学会専門医を目指して行った研修のイメージに近いかもしれません。

これらの基本領域研修とサブスペシャルティ研修は、分野によっては連動させて研修させることが可能です。図1に示します通り、基本領域研修を行いつつ、サブスペシャルティ研修の研修も並行して行うというイメージです。現在のところ、図の中の「連動研修を行い得る領域」に記載のあるサブスペシャルティ領域については、基本領域の研修と並行してサブスペシャルティ領域の研修も可能であり、すなわちそれほど長い年数をかけなくても、基本領域とサブスペシャルティ領域両方の専門医を取得できる見込みとなります。

前回記事と同様に、内科専門研修の修了要件を以下の図2に示します。これらの修了要件は前回記事の時点と変更ありません。実際に内科研修を行っている先生のお話では、やはり経験症例の登録と病歴要約の提出に労力が必要になるとのことです。なるべく効率的に取り組むためには、初期研修医のうちから多くの領域の内科症例を経験しておくこと、経験症例はJ-OSLERのフォーマットを意識して整理しておくこと、時間のあるときに質の高い病歴要約を作成しておくことが有効と考えられます。特に、外科転科症例、剖検症例については重要ですので、整理しておきましょう。なお、内科専門研修として経験が必要な症例のうち、症例登録としては80件病歴要約としては14件を上限として初期研修中の症例の提出が可能です。J-OSLERには臨床研修2年目の1月からログイン可能になりますので、内科専門医を目指す場合には初期研修医のうちに少しでも早く進めておくことをおすすめします。またJMECCは、今のところ初期研修中の受講歴も実績として認められています。初期研修医であっても、JMECCを受講できる機会があれば積極的に受講しておきましょう。修了証を紛失しないように気をつけてください。

最後に、シーリングとその対策です。専門医機構のホームページにて、2022年度プログラム募集シーリング数が公開されています(https://jmsb.app.box.com/s/5rujv3y5nwyr9sph4j9dxfifkt2bhwxw)。基本領域ごとに、その領域の医師充足率が高いと計算されている都道府県において、専攻医採用数の上限(シーリング)を定めるというのがシーリングの制度です。都道府県ごとの医師数は毎年変動しますので、シーリングの有無、シーリング数も毎年変わります。そのため、このような公開情報を利用し、自分が専攻医として専門研修を希望する領域や地域の状況をこまめに確認していただくのが良いでしょう。もしもシーリング対象となった場合、少しでも早く、希望する専門研修プログラム基幹施設と連絡をとっていただくことをおすすめします。地域によっては、大学病院の医局(臨床講座)に、各専門研修プログラムの募集定員や連携プログラムの種類・定員などの情報が集まっていることもあります。入局を考えている大学医局がある場合には、早い段階から連絡をとることも有効です。2021年の場合は、初期研修2年目の4-5月に連絡をとる研修医が多かったようです。

初期研修と専門研修を別の地域、別の施設で行う場合もあろうかと思います。また、内科専門研修は、基幹施設と連携施設での勤務が必要です。その際には、引っ越し、退職、入職の手続きはもちろんのこと、J-OSLERの手続きも忘れないようにしましょう。特に、多くの病院では、退職と同時に電子カルテへのアクセス権限も切れます。経験した症例について、電子カルテを閲覧しながらJ-OSLER登録を行うのは、なるべくその施設に所属しているうちに終わらせましょう。

以上、2021年8月1日時点での内科専門研修の情報について、現状を整理してみました。また新たな情報や、制度の変更などがあるような際には、改めてこちらに掲載する予定です。

(文責:老年・総合内科学 赤坂 憲)

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