大阪大学産婦人科は、1881年に正式に講義が始まって以来、多くの優れた産婦人科医を輩出してきました。現在、同門会である「平地会」には、700名を超える医師が所属しております。
この素晴らしい伝統を受け継ぎながら、「地域に生き世界に伸びる」という大阪大学のモットーを実現すべく、診療、研究、教育にあたっていきたいと考えております。
診療について
私たちの教室では、全女性の生涯にわたる健康を守るために、周産期、生殖内分泌、婦人科腫瘍、女性ヘルスケア、これら全ての診療分野を各々発展させ、科内連携に努めています。高度な専門的医療が可能な診療科が揃う大阪大学医学部附属病院においては、関係診療科との連携によって、合併症症例や希少疾患症例、治療困難例に対しても、「最後の砦」として大学病院ならではのレベルの高い診療を提供しています。
大阪府内を中心とした地域の基幹病院である関連施設には、周産期診療に強い施設、婦人科腫瘍診療に強い施設、内視鏡手術の経験が積める施設、一般的な産婦人科診療が学べる施設、など様々な特徴ある施設が揃っています。私自身、教室以外に4つの関連施設で勤務をした経験がありますが、多くの先生方の出会いを通じて貴重な経験を積む事ができたのは、このような大きな組織に所属した利点であったと非常に感謝しています。産婦人科には非常に広い診療分野がありますが、私たちの組織にはどの分野においても必ず素晴らしい先輩、そして仲間がいます。一人で出来ることには限りがあり、そして仲間がいないと視野が狭くなります。
教室、及び関連施設、同門の先生方の力を結集して、新しい産婦人科医療を展開していく夢を叶えたいと考えています。
研究について
医学は常に進歩がなくてはならない学問です。現在の医療では解決のできない問題は勿論、常識と思われている事が本当に正しいのか、検証を続けていかなくてはなりません。日々の臨床診療から得られる疑問点について基礎研究の視点を持って取り組むこと、基礎研究で得られた知見を臨床診療へ還元することを目標に、私たちの教室では各診療分野において多岐にわたる研究が行われています。
基礎研究を契機として、海外へ留学される機会を掴む先生もいらっしゃいます。海外生活の経験は研究面だけではなく、ご自身にとっても大変貴重な期間となります。第三者的な目線で日本を眺めることができる、そのような体験は海外生活でしか経験できないのではないでしょうか。
臨床研究については多施設共同で、大規模な研究に取り組まねばなりません。教室と関連施設が連携した臨床研究の実施、他機関と連携した研究についても展開しています。
これらの研究内容については、ホームページ内の各々のページをご覧ください。
一方、従来の臨床・基礎研究にあてはまらないような、産学連携による医療機器開発や芸術分野と連携した疾患啓発の取り組み等をさらに発展させ、文理連携による倫理的問題と産婦人科診療の融合、心理的問題と婦人科疾患の関係検証、など新たな研究分野に挑戦をしたいと考えています。
教育について
全国より集まった優秀な産婦人科専攻医の先生方に、教室及び30の関連施設が密に連携して、質の高いトレーニングを提供しています。若手からベテランまで広く対象としたセミナーを、周産期、内視鏡手術、生殖医療分野の最新の医療知識を共有するべく展開しています。更に他分野についても拡充し、各分野のチームの、私たちの組織のレベルアップを図っていきます。
診療の中で多様な視点、研究マインドを持つ次世代の臨床医を育成し、様々な研究分野の応用によって、日本の、世界の女性の健康に貢献できる医療の開発を目指したいと考えています。
労働環境について
2000年代より女性医師割合が増加し7割前後に達したことを受けて、長年に渡って多様な産婦人科医師の労働環境についての取り組みを進めて参りました。性別や、キャリアの段階に関わらず、働きやすい職場の実現に向けて現在進んでおります。様々なキャリアパスを歩んだロールモデルに出会えるはずです。
タスクシェアによって生み出される時間が、それぞれの医師の考えで有効に活用されるような環境を提供したいと考えています。
最後に
私たちは「知の創造、継承及び実践」の使命の下に、サステナブルな方法で足元にある地域医療を支え、そこから生まれるアンメットニーズに真摯に向き合うことで、新しい産婦人科医療を提供していきたいと考えています。