医療において臨床検査が担う役割は極めて重要です。良質な医療の提供を支えるためには、臨床検査の品質と精度が確保されていなければなりません。また、大学病院が高度な医療を実践し、未来医療の開発に邁進するうえで、臨床検査に求められる水準はますます高くなっています。臨床検査そのものも、近年の医学の発達とともに、大きな進歩と変化を遂げてきました。我々臨床検査部は、医療現場の要求に応え、さらに最先端の臨床検査技術を提供するために、技術の習得と方法の改良に日々努力を重ねております。
良質な検査は、最先端の検査機器を導入するだけでは担保できません。実施した検査の結果が常に信頼できるものでありつづけるためには、検査機器の管理はもちろん、検体の処理、検査試薬の調整、検査結果の確認や評価など、検査に関わるあらゆるプロセスを適切に実行する必要があります。さらに、こうしたプロセスが高度な水準で管理できるよう、ひとつひとつのプロセスについて、あらかじめ標準化された手順を確立しておくことも重要です。また、不測の事態を含めて種々の問題が発生した場合にも、その原因を究明し、適切な対処ができるよう、個々のプロセスをきちんと記録に残していく体制も常日頃からとっておかなければなりません。当臨床検査部では、それぞれの検査のエキスパートである検査室主任を中心に、職員一同、こうした高い品質と精度の管理を実践しています。
良質な検査を提供するためには、単に検査結果の信頼性を確保するだけではなく、できるかぎり迅速に結果を報告することも重要です。当臨床検査部では、検体処理の大部分を自動化するなど、処理能力を向上させることで、迅速な結果報告の実現に努めてまいりました。また多くの検査項目で365日、24時間の迅速検査が実施できる体制も築いてまいりました。こうした取り組みは、医療情報システムの進歩とも相まって、医師が検査オーダーしやすい環境づくりにつながってきました。
一方、限られた医療資源を効率的に活用するためには、適切に臨床検査を行うことも重要です。検査オーダーしやすい環境の提供は、ともすると過剰な検査につながるおそれもあり、臨床検査の適正な実施を推進していかねばなりません。さらに、臨床検査の高度な品質と精度を管理するうえでも、コスト削減は避けて通れない問題となっています。こうした部分に目を向けていくことも、当臨床検査部が担う重要な役割であると考えております。