大阪大学大学院医学系研究科
呼吸器・免疫アレルギー内科学
Dept. of Respiratory Medicine, Allergy and Rheumatic Disease, Graduate School of Medicine, Osaka University HOME
教授挨拶

熊ノ郷 淳このたび呼吸器・免疫アレルギー内科学の教授に就任することになりました熊ノ郷です。伝統ある第三内科の系譜を引く内科の教室を主宰することになり身の引き締まる思いがしております。まず私のこれまでの略歴を紹介させていただきます。

私は平成3年に大阪大学医学部医学科を卒業しました。平成3年という年は、岸本忠三先生が細胞工学センターから3内に移られた年になります。医学部6回生の丁度今頃、卒後の進路に悩んでおりましたが、「岸本先生が3内に戻られる」というニュースを聞いて瞬時に3内に行こうと決心いたしました。これまで人生の節目節目での、岸本忠三先生を始め諸先生方のご指導、引き上げ、引き立てで今日に至っております。改めてお世話になった先生方への感謝の念を強くするとともに、これも脈々と受け継がれてきた3内伝統の「懐の深さ」「人の輪」の導きのおかげと感じております。臓器別編成、新研修医制度など医局の体制自体が大きく変化し、3内という目に見える組織はなくなっております。しかしながら、3内の「輪」で育てていただいた一人として、呼吸器、免疫はもとより、内分泌代謝、循環器、消化器、血液、神経の分野でこれまで数々の人材を輩出してきた3内の伝統をしっかりと大切に受け継いでいかなければならないと強く感じております。

私の今後の呼吸器・免疫アレルギー内科の教室運営の方針としましては、まず第一に、臨床の現場を大切にすること、しっかりとした体制・医療の基盤を築いていくこと、そしてその中で優秀な若い人材を集め育成していくことであります。

そして、その基盤の上に、臨床研究を強化・充実させていきたいと考えております。具体的には、

○免疫・呼吸器難病治療に繋がる先駆的研究

○阪大が世界に誇る最先端のシーズを結集した形でのがん免疫・肺がん先端医療

の二つをその先にある目標・旗として掲げて行きたいと思っております。

―しっかりとした臨床と人材の育成、その基盤の上に、医学・医療を一歩先へ進める研究―

極上の料理というのは決してスパイスのみでは成り立ちません。きっちりとした素材によるベースがあってこそだと思います。逆に、いくら良い素材があったとしても、「もうひと工夫・もうひと味」の思いと努力がなければ、医学・医療の進歩はなく、大学の臨床教室としてのミッションを果たすことはできません。この「もうひと工夫・もうひと味」が一番難しく、そしてストレスなことだと思います。しかし、そこを目指さなければいけませんし、目指していくのがこれまで諸先輩方が培われてきた伝統・歴史であり、次の世代への架け橋となると考えます。今日の抗体医薬の隆盛を見るにつけ、(私が入局した年の) 同窓会の講演会で岸本忠三先生が「関節リウマチの治療に未だ古典的な金製剤のようなものが使われている。私は、最新の免疫学の知見を導入することで、近い将来、画期的な治療法開発に繋げたい」という夢を熱く語っておられたことを思い返します・・・・・・・・・・

今後、人の輪をどんどん広げていけるよう、そして次の時代を担う若い人たちが元気に育っていけるよう、医学・医療を一歩でも先に進ませるよう全力投球して参りたいと思います。

呼吸器・免疫アレルギー内科学 教授 熊ノ郷 淳
略歴
昭和60年大阪教育大学付属高等学校池田校舎卒業、平成3年大阪大学医学部医学科卒業、大阪大学医学部付属病院、大阪逓信病院(現NTT西日本病院)での内科臨床研修を経て、平成5年〜平成9年 大阪大学医学系研究科大学院(岸本忠三教授)、主として細胞生体工学センター(当時)にて研究に従事する。大学院修了後、平成9年より大阪大学微生物病研究所分子免疫制御分野(菊谷仁教授)に移る。微生物病研究所に移った後、免疫応答に必須の免疫調節分子として知られるCD40の関連遺伝子を探索する過程で、当時神経ガイダンス因子とされてきたセマフォリン分子CD100/Sema4DのcDNAを単離するとともに、セマフォリンの免疫系における役割を世界で初めて明らかにする。平成15年12月、同分野助教授、平成18年6月から微生物病研究所感染病態分野教授。平成19年10月から世界トップレベル研究拠点免疫学フロンティア研究センター教授。平成22年11月より現職。
主要論文
Kumanogoh A. et al. Nature 419, 629-633, 2002.
Kikutani H. and Kumanogoh A. Nat. Rev. Immunol. 3, 159-167, 2003.
Kumanogoh A. et al. Immunity 22, 305-16, 2005.
Takegahara, N, Kumanogoh A (*corresponding author) et al. Nat Cell Biol. 8, 615-622, 2006.
Suzuki K, Kumanogoh A (*corresponding author) et al. Nature 446, 680-684, 2007.
Suzuki et al. Nature Immunology 9, 17-23, 2008.
Takamatsu et al. Nature Immunology 11, 594-600, 2010.
Nogi T et al. Nature 467:1123-7, 2010.
Hayashi T et al. Nature 485:69-74, 2012.
Nojima S et al. Nature Commun. 4:1406. 2013.
Kumanogoh A and Kikutani H. Nature Rev Immunol. 13:802-14. 2013.
Schulz E et al. Nature Commun. 5:5191. 2014.
Kimura T et al. Nature Commun. 7:13130. 2016.
Satoh T et al. Nature 541:96-101. 2017.
Nishide M et al. Ann. Rheum Dis. 76:1440, 2017.
Hosen N et al. Nature Medicine (advanced online)
受賞歴
平成 3年 : 大阪大学楠本賞
平成11年 : 大阪大学微生物病研究所優秀学術賞
平成15年 : 大阪大学微生物病研究所最優秀学術賞
平成17年 : 第1回日本学術振興会賞
平成17年 : 第8回日本免疫学会賞
平成18年 : 第2回大阪大学教育・研究功績賞
平成22年 : 第28回大阪科学賞
平成23年 : 文部科学大臣表彰・科学技術賞
平成24年 : 第一回大阪大学総長顕彰
平成24年 : 持田記念学術賞
平成27年 : 米国臨床医学会特別会員選出, Elected Membership for ASCI (American Society for Clinical Investigation)
平成29年 : 大阪大学栄誉教授の称号付与
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