漢方研究について 4
略号作成にあたって検討された方法論について
1.生薬の植物名の学名をもとにする方法
2.処方のイメージを英訳し、その頭文字をもとに作成する方法
3.ローマ字表記法をもとに作成する方法
1.生薬の植物名の学名をもとにする方法
加味逍遥散であれば、Angelica Bupleurum gardenia Mentha、当帰Angelica、柴胡Bupleurum、山梔子gardenia、薄荷Mentha 生薬の羅列をもとにABGMと略号を作成する方法問題点
・漢方の持つ構造が理解しにくい・代表となる生薬をどう選定するのか
・生薬構成が似ているもの、薬味が多いものはどうするのか
などが挙げられ採用とならなかった。
2.処方のイメージを英訳し、その頭文字をもとに作成する方法
問題点
・そもそも、イメージの英訳を誰がするのか?・作業が膨大になり現実的でない
などが挙げられ採用とならなかった。
3.漢方エキス剤略号表記の略号制定の方法
最終的に、ローマ字表記法をもとに作成する方法が、日本薬局方との整合性も取れ、今後の拡張も可能と判断されて採用となった。
1)ローマ字表記法の記載をもとに3文字を目安に略号を制定
例1.当帰四逆加呉茱萸生姜湯読み方:とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう
漢方処方ローマ字表記法:tokishigyakukagoshuyushokyoto
略号:TSGST
例2.十全大補湯
読み方:じゅうぜんたいほとう
漢方処方ローマ字表記法:juzentaihoto
略号 JTT
2)略号が同じ場合は、Pubmedで、より多く検索されるものを優先
方剤 | 日本語表記 | ローマ字表記 | 略号 | 検索 |
---|---|---|---|---|
大建中湯 | だいけんちゅうとう | daikenchuto | DKT | 118 |
大黄甘草湯 | だいおうかんぞうとう | daiokanzoto | DKT→DKZT | 4 |
3)略号が同じ場合は、すでに略号が使用されているものを優先
方剤 | 日本語表記 | ローマ字表記 | 論文数 | 略号検索数 |
---|---|---|---|---|
葛根湯 | かっこんとう | kakkonto | 43 | KKT(0)/KT(1) |
加味帰脾湯 | かみきひとう | kamikihito | 18 | KKT(1) |
4)加味処方は基本骨格の略号を残し、追加生薬を略号化
方剤 | ローマ字表記 | 略号 |
---|---|---|
桂枝湯 | keishito | KST |
桂枝加朮附湯 | keishikajutsubuto | KSTJB |
桂枝加竜骨牡蛎湯 | keishikaryukotsuboreito | KSTRB |
桂枝加苓朮附湯 | keishikaryojutsubuto | KSTRJ |
桂枝加芍薬湯 | keishikashakuyakuto | KSTS |
桂枝加芍薬大黄湯 | keishikashakuyakudaioto | KSTSD |