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研究成果

平成24〜25年度: 公募研究02

上皮細胞ラテラル領域におけるアクチン繊維流動“力”の機能解明
研究代表者: 山城 佐和子
研究成果

細胞−基質間接着(接着斑)形成と細胞仮足の伸展は、がん細胞の運動能亢進や上皮の創傷治癒に重要です。細胞は、これらの構造でアクチン細胞骨格の発生する力を利用しますが、力を非侵襲的に捉えることは難しく、「力」動態は不明な点が多く残っています。一方、培養細胞仮足では、アクチン線維が絶え間なく求心的に移動するアクチン線維流動が存在します。線維流動はアクチン重合とミオシンによる牽引で駆動され、力の作用を可視化する指標となります。本研究では、まず、単分子スペックル顕微鏡法を改良し、最高精度 (±8 nm誤差、> 数十ミリ秒) の時空間分解能でアクチン流動を捉える技術を確立しました。この手法により、培養繊維芽細胞において、接着斑がアクチン流動の速度と方向をサブミクロンスケールで複雑に変化させることを初めて可視化しました。興味深いことに、接着斑前方では、アクチン線維は接着斑に集まるように速いスピードで流動しました。この現象は、接着斑が周りのアクチンネットワークに作用し、自身の方向に流動を変化させていることを示唆します (Mol. Biol. Cell, 2014)。本研究成果より、細胞は、接着斑−アクチン流動相互作用を調節して、接着斑におけるメカノセンス機構の活性を制御している可能性が示されました。