心の保健室

大阪大学医学部は平成5年に中ノ島から現在の吹田の地に移転しました。1,000床を越える大病院の移転はそれだけでも大事業であり、移転のために皆で知恵を出し合って準備を進め、周到な計画に基づいて無事に移転を終了した日のことは今でも覚えています。そして平成16年に旧医学部跡地に中之島キャンパスイノベーションセンターが建設されたのを機に、大阪大学精神科では、市民のために「大阪大学こころの保健室」を開設しました。

大阪市内の便利のいい場所で市民のためのメンタルヘルス相談と企業サラリーマンのための相談、さらに週1回のメンタルヘルス市民公開講座を開催してきました。2年間にわたり開催された市民公開講座は好評であり、精神疾患の基本的事項を分かりやすく解説するという目標はおおむね受け入れられたように思います。

このたび、「大阪大学こころの保健室」活動のひとつの区切りとして、市民公開講座の内容をさらに多くのヒトに利用していただきたいと考え、単行本『絵で見る心の保健室』を刊行することにいたしました。本書は、大阪大学精神科のメンバーによりなされた市民公開講座の内容を分かりやすくイラストにまとめたものです。精神疾患についての基本的な知識と情報を得ていただければと思っています。

「大阪大学こころの保健室」事業は、当事者、家族会、障害者支援施設、市民、臨床心理士、社会福祉士、製薬企業、大阪大学精神科が一緒に行ってきたものですが、この場を借りてこれらの関係各位に御礼申し上げます。また、本書の企画段階から出版に至るまで、アルタ出版の高原まゆみ氏の全面的なご尽力をいただきました。ここに重ねて御礼申し上げます。

武田 雅俊、田中 稔久

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