スタッフ
- 井上 洋一
- 教授(保健センター・併任)・精神科医
- 小笠原 將之
- 助手・精神科医
- 福永 知子
- 助手・臨床心理士
- 川口 裕子
- 医療技術補佐員・臨床心理士
- 竹内 直子
- 教務補佐員・臨床心理士
- 松浦 加奈
- 技術補佐員・臨床心理士
臨床・研究活動
わが国でいち早く誕生した大阪大学精神科の青年期外来は、開設以来42年の星霜を重ねるに至った。青年期外来では、統合失調症・摂食障害・不安障害・解離性障害・不登校など、青年期に好発する臨床事態で、薬物療法のみでは改善が望めない症例を中心に扱っている。
臨床心理スタッフは、主治医からの依頼に基づき、各種臨床心理検査・精神療法・集団精神療法(外来:社会生活技能訓練、病棟:音楽療法・絵画療法)を担当している。
当研究室は、伝統的な精神病理学にとどまらず、投影法・精神療法的な関わりを含めて、こころの働きに直接向かい合おうとしている。目で見ることのできないこころの働きに対する気付きを見失うことなく、一例一例の地道な臨床活動を通じて、精神病理学の本質的な理解を追究し、その理解に基づいたよりよい精神療法のあり方を探求することを基本姿勢としている。
臨床・研究活動に際しては、既存の概念(エビデンスと言われているものも含む)を尊重しつつも、それだけでは十分に捉えきれない領域にも絶えず関心を向け、既存の概念そのものの妥当性の検証も常に視野に入れている。
大阪大学精神病理・精神療法研究会
本学保健センターと共同で、毎月第一・第三水曜日に開催している。内容は、症例検討・研究発表・文献購読など多岐に亙っている。
2005年に扱った内容は、症例検討としては適応障害・PTSD・強迫性障害・ギャンブル依存・摂食障害・自己愛性人格障害・非行・虐待・緩和ケアなどであった。
主な学会発表(2005年)
- 第29回京阪神精神科カンファレンス(大阪)
小笠原 將之
「『言葉の煙幕』により不安の明確化に抵抗を示す症例への精神療法的接近」 - 日本集団精神療法学会第22回大会(札幌)
植月 マミ
「摂食障害への対人関係療法的短期集団精神療法 −『言いたいことが言えないグループ』から『本音グループ』へ−」 - 日本思春期青年期精神医学会第18回大会(郡山)
後藤 基規
「スクールカウンセリング −スーパーバイザーの視点から−」 - 日本心理臨床学会第24回大会(京都)
竹内 直子
「統合失調症患者を対象とした通院集団精神療法についての報告 −SSTを中心として−」 - 日本精神病理・精神療法学会第28回大会(東京)
佐藤 寛
「性淘汰理論から見たナルシシズム−進化心理学の臨床への応用の試み−」
山本 晃
「妄想知覚における述語論理」 - 日本ロールシャッハ学会第9回大会(山形)
福永 知子
「セネストパチー症状のロールシャッハ反応 −運動反応に注目して−」 - 第46回日本児童青年精神医学会総会(神戸)
清水 將之
「児童措置部会の機能と児童虐待対策」
佐藤 寛
「大阪市立総合医療センター児童青年精神科外来における注意欠陥多動性障害と高機能広汎性発達障害の比較研究(第2報)」
主な研究論文
- Electrogastrography abnormality in eating disorders.
Ogawa A, Mizuta I, Fukunaga T, Takeuchi N, Honaga E, Sugita Y, Mikami A, Inoue Y and Takeda M.
Psychiatry and Clinical Neurosciences, 58:300-310, 2004. - The Prevalence of Traumatic Events in Young Japanese Women.
Mizuta I, Ikuno T, Shimai S, Hirotsune H, Ogasawara M, Ogawa A, Honaga E and Inoue Y.
Journal of Traumatic Stress, 18(1):33-37, 2005
主な著書
- 辻 悟 『ロールシャッハ検査法 形式・構造解析に基づく解釈の理論と実際』 金子書房 (1997年)
- 辻 悟・福永 知子 『ロールシャッハ・スコアリング−阪大法マニュアル』 金子書房 (1999年)
- 辻 悟 『こころへの途 精神・心理臨床とロールシャッハ学』 金子書房 (2003年)
- 総田 純次 『精神病理学の認識論的基礎−解釈学的立場からのアプローチ−』 晃洋書房 (2003年)
- 井上 洋一 『思春期の心 家族のための精神医学』 医学書林 (2004年)
- 山本 晃 『西田哲学の最終形態 〜精神病理学のみかたから〜』 近代文芸社 (2004年)
- 片田 珠美 『攻撃と殺人の精神分析』 トランスビュー (2005年)
- 小笠原 將之 「赤とんぼ」(北山 修編著『こころを癒す音楽』 講談社 (2005年))
主な訳書
- キャスリン J. ゼルベ著(藤本 淳三・井上 洋一・水田 一郎監訳) 『心が身体を裏切る時 増え続ける摂食障害と統合的治療アプローチ』 星和書店 (1998年)
- S. A. ミッチェル著(鑪 幹八郎監訳・横井 公一訳) 『精神分析と関係概念』 ミネルヴァ書房 (1998年)
- I. マテ-ブランコ著(岡 達治訳) 『無意識の思考』 新曜社 (2004年)
- ラインハルト・レンプ著(高梨 愛子・山本 晃訳) 『自分自身をみる能力の喪失について』 星和書店 (2005年)
主な関連学会
- 日本精神神経学会
- 日本精神病理・精神療法学会(事務局)
2006年10月に、当研究室の担当で第29回大会を開催する。 - 日本児童青年精神医学会
- 日本思春期青年期精神医学会
- 日本青年期精神療法学会
- 日本心理臨床学会
- 日本ロールシャッハ学会