脳波睡眠研究室

スタッフ

杉田 義郎
大阪大学保健センター 精神科 教授
大阪大学大学院医学系研究科 精神医学教室(兼任)
大阪大学医学部附属病院 睡眠医療センター(兼任)
足立 浩祥
大阪大学保健センター 精神科 講師
大阪大学大学院医学系研究科 精神医学教室(兼任)
大阪大学医学部附属病院 睡眠医療センター(兼任)
熊ノ郷 卓之
大阪大学保健センター 精神科 助手
大阪大学大学院医学系研究科 精神医学教室(兼任)
大阪大学医学部附属病院 睡眠医療センター(兼任)
重土 好古
大阪大学大学院医学系研究科 研究生
菅沼 仲盛
大阪大学大学院医学系研究科 博士課程
森島 宏子
大阪大学大学院医学系研究科 博士課程
山村 周平
大阪大学大学院医学系研究科 博士課程
柳 健太郎
大阪大学大学院医学系研究科 博士課程
菊池 大晴
大阪大学大学院医学系研究科 修士課程

臨床・研究活動

脳波睡眠研究室では、睡眠医学・睡眠医療への取り組みを基本的な活動の中心として、産業保健及び学校保健領域でのメンタルヘルス活動に精力的に取り組んでいます。
研究室による睡眠専門外来(日本睡眠学会の学会認定医療機関A型)は、研究生・大学院生が中心となって週に2日開設されています。これに関連して、当研究室で積極的に取得を勧めている日本睡眠学会認定医は、現在大学在籍メンバーでは4名の認定医を輩出しています。
現在、当研究室が臨床業務の中心として阪大病院内で行っている睡眠診療業務は、大きな転換点を迎えようとしています。平成18年4月より、大阪大学医学部附属病院内に睡眠医療センターが設立され、これまで精神科、耳鼻科、小児科など各診療科が個別に行ってきた睡眠診療を、有機的に融合させ、ハード面・ソフト面で効率的かつ質の高い睡眠医療を提供できるセンターを作っていくことになります。本格的な総合睡眠診療施設が院内に開設されることにより、中長期的には包括的な睡眠に関する診療・教育・研究・社会還元が可能となり日本の中核としての機能を有するようになるものと考えています。
勉強会は、毎週木曜日18時半から研究室にておこなっています。また月に1度、大学在籍メンバーが主体となった研究打ち合わせの場、満月会を開いています。是非気軽に覗きに来ていただければと思います。

現在の主な研究課題

  1. 睡眠呼吸障害にみられる微小覚醒反応及び脈波変動のメカニズムに関する研究
    睡眠呼吸障害(SDB)の早期発見法に関する研究において、睡眠時無呼吸の出現頻度が低く、酸素飽和度の低下も軽微で、一般的には軽症の閉塞性睡眠時無呼吸症候群と診断される患者の中に、頻回に上気道抵抗増大に伴う微小覚醒反応が生じ、日中の過眠症状を呈する患者がいることが確認されている。このため、SDB患者の夜間睡眠を評価する時に、従来の脳波視察判定による睡眠構築だけでは不十分であることが判明している。当研究室では、SDBの呼吸イベントに伴って出現する微小覚醒の変化を、脈拍変動や容積脈波といった、自律神経系の生理学的変化を指標として検討することによって、その発現メカニズムの解明および微小覚醒反応測定のための医療検査機器開発を目標に研究を行っている。
  2. 睡眠改善に効果の見られる栄養素材の探索的研究
    近年、睡眠の質に関して種々の食品による改善効果が注目されており、発酵乳にも様々な生理活性機能のあることが長年の研究で証明されている。Lactobacillus helveticus発酵乳では、寿命延長効果、免疫賦活効果、血圧調節効果、疲労回復・ストレス低減効果、脳内セロトニン量の上昇効果などの機能があること認められている。当研究室では、老年者を中心とした軽度不眠症状を有する方を対象としたLactobacillus helveticus発酵乳の改善効果の検討を行っている。
  3. 断眠による酸化ストレスの発生と睡眠による抗酸化作用に関する検討
    現在、疾患における90%は酸化ストレスが関連しているとも言われ、動脈硬化、高血圧、心筋梗塞、糖尿病、高脂血症などの生活習慣病や癌など、酸化ストレスとの関連について検討が進んでいる。睡眠に関連した分野でも、この酸化ストレスと深い関連性があると考えられ、深睡眠量の減少や、睡眠効率の低下が、生体内における酸化作用の増加もしくは抗酸化作用の低下をもたらし、生体を酸化ストレスの強い状況化に陥れることが考えられる。当研究室では、断眠(部分断眠)での酸化ストレスによる生体内における核酸の損傷の程度、および睡眠をとることによる損傷度の低下レベルを経時的に測定し、部分断眠による酸化ストレスの程度、睡眠効率や深睡眠の量と酸化ストレスからの回復過程、日中の活動量と酸化ストレスの関係について、検討している。
  4. 胃食道逆流症が睡眠に及ぼす影響に関する研究
    胃食道逆流症(GERD)は酸性の胃内容物が逆流することで食道がびらん性の炎症を起こし、胸やけなどを主訴とする疾患である。通常、飲水などのacid clearanceにより食道内の酸は取り除かれるが、夜間に逆流が生じると臥位や睡眠状態にある影響でacid clearanceがすぐに行われず、長時間胃酸に曝露することになる。当研究室では、GERDが睡眠に及ぼす影響および睡眠関連疾患とGERD関連症状との関連について研究を行っている。
  5. 学生におけるPresentaaismの現状とコホート研究
    Presenteeismは仕事を休んでいない(出勤している)状態を表す造語であり、仕事や学校を休む事実を表すAbsenteeismの逆の概念として作られた。この概念は、欧米の産業保健の分野において、身体の不調がありながらも出勤する"sickness presenteesim"という現象に関わる要因を明らかにする研究で用いられている。本邦でも、現在この領域の研究が始められつつあるが、学生における"sickness presenteeism"の状況及び休業や学校を休むことを阻害している要因を明らかにすることは、学生のメンタルヘルスを行っていく上で非常に重要な課題であり、当研究室でも積極的に調査に取り組んでいる。

最近の主な論文など

  • こころと眠りの健康
    杉田義郎
    心の医学新書, メディカルレビュー社, 2006
  • Detection of sleep respiratory disturbance with photoplethysmography
    N. Suganuma, T. Kumano-go, H. Matsumoto,S. Yamamura, H. Morishima, H. Adachi,A.Mikami, Y. Sugita, M. Takeda
    Sleep Medicine, 6 S2: S62, 2005
  • Factors influencing quality of sleep in primary caregivers of patients with Alzheimer's disease
    H. Adachi, N. Tachibana, M. Ikeda, K. Hokoishi, K. Komori, R. Fukuhara, T. Hyoudou, T. Ishikawa, T. Mori, Y. Toyota, T. Matsumoto, N. Matsumoto, S. Shinagawa, A. Mikami, H. Tanabe
    Sleep Medicine, 6 S2: S187-188, 2005
  • なるほどthe不眠症「消化器疾患と不眠」
    杉田義郎
    すいみんing 14;8-9, 2005
  • BPSDの生物学−睡眠関連症状−
    三上章良、足立浩祥、武田雅俊
    老年精神医学雑誌 16;44-52, 2005
  • うつ状態・睡眠障害―リウマチ患者によくみられる合併疾患・診断と治療のコツ
    熊ノ郷卓之、杉田義郎
    リウマチ科 34;169−174, 2005
  • 大脳辺縁系の症候−高次神経機能−
    足立浩祥、池田学、小森憲治郎、田邉敬貴
    Clinical Neuroscience 23;56-59, 2005
  • 高齢者および認知症患者の睡眠の問題に対する対処法
    足立浩祥
    臨床看護 31;1771-1776, 2005
  • 前方型痴呆(認知症)
    足立浩祥、池田学、田邉敬貴
    精神科 7;291-297, 2005
  • 呼吸関連睡眠障害と睡眠時無呼吸症候群
    重土好古 杉田義郎
    臨床精神医学 34;33−41, 2005
  • 勤労者のストレスと睡眠に関する一考察 -ストレスドック受検者の睡眠健康度調査結果から-
    杉山恵美子,佐藤俊子,桂田桃子,平山照美,足立浩祥,森島宏子,三上章良
    大阪府こころの健康総合センター平成16年度研究紀要,10:45-50, 2005
  • Sleep characteristics of menopausal insomnia: a polysomnographic study.
    Terashima K, Mikami A, Tachibana N, Kumano-Go T, Teshima Y, Sugita Y,
    Takeda M.
    Psychiatry and Clinical Neurosciences 58:179−185, 2004
  • 成年後見制度施行5年目を迎えて−後見の実例−
    熊ノ郷卓之、杉田義郎、武田雅俊
    臨床精神医学33:1213−1221、2004
  • Three components of obstructive sleep apnea/hypopnea syndrome
    Kumano-go T, Mikami A, Suganuma N, Adachi H, Watanabe T, Shigedo Y, Sugita Y, Takeda M
    Psychiatry and Clinical Neurosciences 57;197-203, 2003
  • Clinical significance of pulse rate rise during sleep as a screening marker for the assessment of sleep fragmentation in sleep-disordered breathing
    Adachi H, Mikami A, Kumano-go T, Suganuma N, Matsumoto H, Shigedo Y, Sugita Y, Takeda M
    Sleep Medicine 4:537-542, 2003
  • ナルコレプシー発症後にREM睡眠行動障害を併発した1症例
    三上章良,熊ノ郷卓之
    Geriatric Medicine 41: 479-483, 2003
  • 上気道抵抗症候群
    三上章良, 足立浩祥, 杉田義郎
    睡眠障害診療マニュアル, ライフ・サイエンス, 56-60, 2003
  • レム睡眠行動異常症
    熊ノ郷卓之、杉田義郎
    睡眠障害診療マニュアル, ライフ・サイエンス, 90-92, 2003
  • 高齢者のREM睡眠行動障害
    熊ノ郷卓之,杉田義郎
    老年医学 41:443-448, 2003
  • レム睡眠行動障害を併発したナルコレプシーの1症例
    熊ノ郷卓之 ,菅沼仲盛 ,武田雅俊 ,杉田義郎
    臨床脳波 45:815-819, 2003
  • 眠気に対する意識改革を―山陽新幹線居眠り運転士事件からの教訓
    三上章良
    日本医事新報 No.4132 63, 2003
  • 睡眠関連疾患としてのrestless legs syndrome
    三上章良,立花直子
    日本医事新報 No.4136 96-97, 2003
  • 睡眠の異常と(睡眠障害)とその治療 総論
    杉田義郎
    こころの臨床 a・la・carte 22, 275-280, 2003
  • 過眠症
    熊ノ郷卓之、杉田義郎
    こころの臨床 a・la・carte 22:281-290, 2003
  • 睡眠時無呼吸症候群
    渡辺琢也,重土好古
    こころの臨床 a・la・carte 22:291-297, 2003
  • レストレスレッグズ症候群
    三上章良
    こころの臨床 a・la・carte 22: 299-304, 2003
  • 不眠症
    寺島喜代治 松本英幸 山村周平
    こころの臨床 a・la・carte 22:305-312, 2003
  • 睡眠時随伴症
    足立浩祥
    こころの臨床 a・la・carte 22:313-320, 2003
  • 睡眠呼吸障害の概念と病態
    三上章良
    総合臨床52:2902-2909, 2003
  • 睡眠関連疾患の診療―更年期の場合―
    寺島喜代治
    総合臨床52:3033-3038, 2003
  • 病気と薬の説明ガイド2003
    不眠症
    杉田義郎
    薬,54増刊, 2003
  • 心の健康講座「睡眠を考える」
    三上章良
    健康保険組合連合会大阪連合会「かけはし」No386:10, 2003
  • 睡眠は脳とこころのバイタルサイン−スリープヘルス施策の充実を!−
    三上章良
    大阪精神保健福祉48:103-109, 2003
  • 睡眠についてもっと知ろう、考えよう
    三上章良
    消費者情報347:18-21, 2003
  • 悪夢, 睡眠障害−摂食・睡眠・性・人格障害など−
    足立浩祥、武田雅俊、杉田義郎
    精神医学症候群U, 日本臨床社, 177-179, 2003
  • 睡眠麻痺, 睡眠障害−摂食・睡眠・性・人格障害など−
    足立浩祥、武田雅俊、杉田義郎
    精神医学症候群U, 日本臨床社, 180-183, 2003
  • 睡眠歴のとり方と質問紙の利用方法
    足立浩祥
    総合臨床 52:2944-2952, 2003
  • 精神神経科受診高齢者における不眠状態の調査とその生活の質(QOL)に及ぼす影響の検討
    杉田義郎、足立浩祥、熊ノ郷卓之、安東明夫、守山敏樹、三上章良
    大阪ガスグループ福祉財団研究・調査報告集 16;87-91, 2003
Top of page
Copyright(C) 2008 Department of Psychiatry, Osaka University Graduate School of Medicine All Rights Reserved.