温めることで血行障害を改善させる
温めた時の変化ではなく、温め続けることで治療効果を引き出す
私たちは手足の血行障害対策に取り組んでいます。
適切な部位を適切に加温することで、血流を増やすだけではなく、毛細血管の障害そのものの改善を目指しています。
膠原病、とくに全身性硬化症(強皮症)では冷たい刺激で指などの皮膚色が変色する「レイノー現象」と呼ばれる症状が発生します。
原因として、そもそもこのような病気では毛細血管が障害を受けて蛇行しており、もともと血流が悪いという背景があります。健康な状態では指先の毛細血管はまっすぐのヘアピン状になっていますが、全身性硬化症(強皮症)の人では蛇行がつよく、徐々に血液が流れなくなってしまい毛細血管が消えていきます。この状態で、寒さ刺激を受けると血管が収縮し血流が極端に低下します。
薬を飲んでも注射しても、そもそも血流が乏しいため薬がなかなか届きません。薬は血流がまだ多いところにばかりにとどいてしまうので、余計なところで血管拡張が発生して副作用の頻度が少なくありません。
そこで、外から血管に刺激を与えて改善させられないかと考えました。熱を加えると組織の温度が上昇するため、生理的に放熱を進めるために血管が広がります。さらに熱を加え続けると血管の数が増えるかもしれない、という仮説です。
レイノー現象は手に現れることが多いので、手をお湯に浸けたりされる方が多いようですが、外出時は困難ですし、予防的に手を湯に浸けたままでは何の仕事もできません。
そこで、温めるといっても手以外の部位でなければなりません。そこでまず、部位によって温める効果が違うかどうかを確かめることにしました。