大阪大学大学院医学系研究科血管作動温熱治療学

Lab. of thermo-therapeutics for vascular dysfunction, The University of Osaka Graduate School of Medicine

温めることの生体への影響を科学的に研究し

温めることの疾病症状への治療効果を探索しています

私たちは熱刺激が体に及ぼす影響を科学的に探索し、これが手足の血行障害や筋・関節の障害に治療効果を与えないかを研究しています。

適切な部位を適切に加温することで、血流を増やすだけではなく、毛細血管の障害そのものの改善を目指しています。

膠原病、とくに全身性硬化症(強皮症)では冷たい刺激で指などの皮膚色が変色する「レイノー現象」と呼ばれる症状が発生します。

原因として、そもそもこのような病気では毛細血管が障害を受けて蛇行しており、もともと血流が悪いという背景があります。健康な状態では指先の毛細血管はまっすぐのヘアピン状になっていますが、全身性硬化症(強皮症)の人では蛇行がつよく、徐々に血液が流れなくなってしまい毛細血管が消えていきます。この状態で、寒さ刺激を受けると血管が収縮し血流が極端に低下します。

薬を飲んでも注射しても、そもそも血流が乏しいため薬がなかなか届きません。薬は血流がまだ多いところにばかりにとどいてしまうので、余計なところで血管拡張が発生して副作用の頻度が少なくありません。

そこで、外から血管に刺激を与えて改善させられないかと考えました。熱を加えると組織の温度が上昇するため、生理的に放熱を進めるために血管が広がります。さらに熱を加え続けると血管の数が増えるかもしれない、という仮説です。

レイノー現象は手に現れることが多いので、手をお湯に浸けたりされる方が多いようですが、外出時は困難ですし、予防的に手を湯に浸けたままでは何の仕事もできません。

そこで、温めるといっても手以外の部位でなければなりません。そこでまず、部位によって温める効果が違うかどうかを確かめることにしました。

一時停止 再生

血管作動温熱治療学とは

カイロ等の温熱技術を用いた末梢血行障害に対する新規治療法の確立とメカニズム解明

  • 「冷え」と「こわばり」に対策を
  • 「温熱」による血管拡張だけでなく、毛細血管の形態そのものが改善する効果、運動器の動きそのものが改善する効果を追求
  • 最適な加温部位、最適な加温温度を探索
  • 今ある技術を組み合わせ、日常生活や労務に支障のない加温デバイスを開発
  • 将来の夢ではなく、今病める人に提供できるものを開発

温熱によって血流が増えることは古くから経験的に周知されていることですが、安全性への危惧もあり、「どこをどの温度で温めるのが良いのか」というシンプルな疑問はこれまで真面目に議論されたことがありませんでした。本共同研究講座は温熱による血流増加効果を科学的に検証し、医療に導きます。

指先の冷えや血行障害には指から遠い肘付近の加温の方が効果がある。
News
2025年7月
ホームページ更新しました。
2025年2月
嶋 良仁の論文がRheumatology and Therapy誌に掲載されました。
2024年12月10日
当研究室の研究成果がCBC【ひるおび】の番組内で紹介されました。
2024年12月4日
当研究室の研究成果がTBS【The time】で紹介されました。
2024年11月
嶋 良仁の論文がMicrovascular Research誌に掲載されました。
2023年10月
日経ヘルス2023秋号に当教室の研究結果が紹介されました。
2023年10月
嶋 良仁先生の論文が、Modern Rheumatology誌に掲載されました。
2023年9月
小林製薬株式会社より「ヒエナース」のEC販売を開始いただきました。

過去のNews

PAGE TOP