放射線科専門研修プログラム
(放射線画像診断・IVR、核医学、放射線治療)
(1)コースの全体像
本コースは、「基本領域」と「サブスペシャリティ領域」の2段階の専門研修制度で構成されている。すなわち、まず「基本領域」である放射線科専門研修を修了した後に、「サブスペシャリティ領域」として各分野の専門研修を積む流れとなっている。
はじめの放射線科専門研修では、専門研修基幹病院(大阪大学医学部附属病院)および専門研修連携施設において、大阪大学関連病院群放射線科専門研修プログラムに沿って通常3年間の放射線科領域の研修が行われる。放射線科専門医の認定を取得するためにはこの専門研修を修了した上で、放射線科専門医認定試験に合格する必要がある。
大阪大学大学院医学系研究科放射線統合医学講座は、放射線医学(放射線診断・IVR科)、核医学(核医学診療科)、放射線治療(放射線治療科)の3つの講座(診療科)から構成されているが、いずれの講座に入局しても最初は本プログラムに沿った研修を受けることになっている。そのため、これらの科に入局し、専門医の取得を目指す場合は大阪大学関連病院群専門研修プログラムに応募する必要がある。このプログラムでは最低1年間は専門研修基幹施設である大阪大学医学部附属病院で研修することを原則としている。基幹施設での1年間の研修では、頭部・核医学診療を3か月、胸部診断を3か月、腹部診断・IVRを3か月、放射線治療を3か月でローテーションする。残りの2年間は基幹施設または連携施設において放射線診断・IVR、核医学、放射線治療それぞれの専門を中心とした研修を行う。
放射線科専門医認定の取得後は、サブスペシャリティ領域の専門研修に移行する。放射線診断・IVR科および核医学診療科では放射線診断専門医(日本医学放射線学会認定)、放射線治療科では放射線治療専門医(日本医学放射線学会・日本放射線腫瘍学会認定)の取得をめざすことになるが、さらに2年間の専門研修を積む必要がある。他のサブスペシャリティの専門医資格としては、PET核医学認定医および核医学専門医(いずれも日本核医学会認定)などがあり、それぞれ、核医学診療経験が3年以上、教育病院での研修が5年以上などの条件が課せられている。また、IVR専門医(日本IVR学会認定)では、受験資格の取得のために放射線診断専門医取得後、日本IVR学会認定の専門医修練施設において2年以上研修を積む必要がある。
大学院への入学は随時可能であり、臨床修練と平行して、放射線診断・IVR、核医学、放射線治療に関する臨床または基礎研究に携わり4年間で医学博士の取得をめざす。

(2)コースの概要
放射線科コース (基幹病院と連携病院で計5年の研修を行う)
大学病院・医療機関名
基幹病院
大阪大学医学部附属病院
連携病院
- 【総合修練機関】
- (国立病院機構大阪医療センター、大阪国際がんセンター、大阪急性期総合医療センター、住友病院、大阪労災病院、関西労災病院、奈良県立医科大学附属病院、滋賀医科大学医学部附属病院
- 【修練機関】
- (市立吹田市民病院、市立豊中病院、八尾市立病院、市立池田病院、箕面市立病院、日本生命病院、近畿中央病院、西宮市立中央病院、市立貝塚病院、堺市立総合医療センター、済生会千里病院、近畿中央胸部疾患センター)
- 【特殊修練機関】
- (都島放射線科クリニック、大阪母子医療センター
診療科名
放射線診断・IVR科
核医学診療科
放射線治療科
指導者数
大阪大学医学部附属病院:32名
連携病院:各病院あたり1~7名
期間
5年(うち大阪大学医学部付属病院を1年以上)
受入人数
計12名(シーリングが無かった場合の最大受入人数)
(3)コースの実績
放射線診断・IVR
大阪大学医学部附属病院は超音波・CT・MRI・血管造影・X線TV装置など高度の画像診断装置を備え、2022年度のCT検査は年間34,000件以上、IVRは1700件の放射線診断および診療を行っており、放射線科専門医の育成のみではなく、放射線科診断専門医及びIVR専門医取得後も臨床経験等を積み重ねるなど生涯教育に貢献している。2023年度には新たに6名の後期研修医が入局し、放射線科専門医を目指して日々努力を重ねている。
核医学
大阪大学附属病院では、最新型のSPECT-CT装置、ガンマカメラを備えており、年間2800件以上の一般核医学診断ならびに放射性医薬品を用いた核医学治療を行っている。また、院内サイクロトロン施設、最新のPET/CT装置は世界有数の稼働率であり、様々なPET製剤を用いた診療を行っている。保険診療として18F-FDG PETを年間2300件以上、心筋血流・脳血流PETを年間50件以上行っている。最近10年間の実績は、核医学専門医資格取得3名、PET核医学認定医資格取得4名であった。
放射線治療
大学及び放射線治療機器を有する連携施設は何れもがん診療拠点病院(地域がん診療連携拠点病院、都道府県がん診療連携拠点病院を含む)、であり、がん治療における地域の基幹病院として機能している。これらの施設で年間約6000人、阪大病院では年間約700人の患者さんへ放射線治療を行っている。プログラムでは、1年目の大学でのローテーション研修期間中で、専門医取得に必要とされる放射線治療症例数を経験することが可能となっている。将来的に放射線治療専門医を志望する場合は、2年目以降は放射線治療を主体とした研修となる。大学及び、2名以上の常勤放射線治療医を配置している連携施設で、各々1年間(状況によって2年間)の研修期間を予定している。放射線科専門医(治療)取得には、3年間の専攻医研修期間に加えて、引き続き基幹施設・連携施設で2年間の経験・実績を積むことが必要となる。大学院進学については随時相談に応じている。
過去5年間で7名が放射線治療専門医を取得した。
(4)コースの指導状況
放射線診断・IVR
大阪大学医学部附属病院及び連携施設は日本医学放射線学会認定総合修練機関あるいは修練機関、特殊修練機関のいずれかであり、日本IVR学会認定修練施設も含まれている。大阪大学では全身各領域の画像診断及びIVRの専門医による直接指導を行い、放射線科専門医(日本専門医機構認定)および放射線科診断専門医(日本医学放射線学会認定)をめざして指導する。IVR専門医(日本IVR学会認定)の資格取得も可能である。
核医学
大阪大学医学部附属病院は、上記に加えて、日本核医学会専門医教育病院の認定も受けている。放射線科専門医(日本専門医機構)、放射線科診断専門医(日本医学放射線学会認定)に加えて、一般核医学、核医学治療およびPET核医学に精通した専門医から直接指導を受けることによって、核医学専門医(日本核医学会)及びPET核医学認定医(日本核医学会)の両資格の取得も可能である。
放射線治療
大阪大学及び連携施設は何れも、日本医学放射線学会認定修錬機関および日本放射線腫瘍学会認定施設(一部修練協力機関・準認定施設)であり、放射線治療専門医による直接指導を行い、放射線科専門医(日本専門医機構)およびその上級資格である放射線治療専門医(日本医学放射線学会および日本放射線腫瘍学会の共同認定)の両資格取得を目指して指導する。
(5)専門医の取得等
学会等名 | 日本専門医機構 |
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資格名 | 放射線科専門医 |
資格要件 | 修練機関で研修3年以上(1年間は基幹施設/総合修練機関での研修) |
【学会の連携等の概要】 大阪大学及び関連病院は何れも日本医学放射線学会認定修練施設である。 |
学会等名 | 日本医学放射線学会 |
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資格名 | 放射線診断専門医 |
資格要件 | 専門医取得後、修練機関で研修2年以上 |
【学会の連携等の概要】 大阪大学及び関連病院は何れも日本医学放射線学会認定修練施設である。 |
学会等名 | 日本IVR学会 |
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資格名 | IVR専門医 |
資格要件 | 放射線診断専門医取得済、かつIVR修練施設で研修2年以上 |
【学会の連携等の概要】 大阪大学及び関連病院はいずれも日本IVR学会認定修練施設である。 |
学会等名 | 日本核医学会 |
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資格名 | 核医学専門医 |
資格要件 | 教育病院で研修5年以上 |
【学会の連携等の概要】 大阪大学医学部附属病院は日本核医学会専門医教育病院である。 |
学会等名 | 日本核医学会 |
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資格名 | PET核医学認定医 |
資格要件 | 核医学診断経験が3年以上 |
【学会の連携等の概要】 大阪大学医学部附属病院は日本核医学会専門医教育病院である。 |
学会等名 | 日本医学放射線学会、日本放射線腫瘍学会 |
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資格名 | 放射線治療専門医 |
資格要件 | 放射線科専門医取得後、修錬機関で研修2年以上 |
【学会の連携等の概要】 大阪大学及び関連病院は何れも日本医学放射線学会および日本放射線腫瘍学会認定修錬機関・施設(一部修練協力機関・準認定施設)である。 |