脳とAIの融合
神経の情報表現を解明し、神経情報の解読・制御技術を開発し、医療へ応用することを目指して、下記の研究を行っています。
1. Brain-Machine Interface
脳波などの生理信号のビッグデータに機械学習(人工知能)を適用することで、ヒトの意図や視覚認知、思考状態などに関連する神経情報を解明できます(Nat. Comm. 2024)。
我々はヒトの頭蓋内へ留置された電極から計測した頭蓋内脳波から脳情報を解読する技術を開発し、これを用いてロボットを制御したり、想像した画像を画面に提示するBrain-Machine Interface(BMI)を開発してきました(Ann. Neurol., 2012, Comm. Biol., 2022, 図A, B)。この技術は、体が動かない患者さんの運動機能再建や意思伝達補助に医療応用されます。
また、極低侵襲に頭蓋内脳波を得る方法として、血管内脳波を用いたBMI開発を進めています。
図B. 想起した内容を映像化するBMI

2.Neurofeedback
BMIを使い身体の代わりにロボットやアバターを脳活動と繋げることで、脳活動に可塑的変化を誘導し、運動制御に関わる脳活動と機能との関係を明らかにできます。
また我々は、腕を失った後にないはずの腕が痛む幻肢痛に対して、BMIのロボットを動かす訓練をすることで、痛みを軽減できることを示しました(Nat. Comm. 2016, Neurology 2020, 図C)。
これはニューロフィードバック(NF)治療と呼ばれます。脳情報を解読し、その情報を使ったNFによる疾患治療法を開発します。
図C. 脳磁図BMIを用いた幻肢痛治療

3.脳波の神経情報解読
脳波のビッグデータにAIを適用することで、認知症やてんかんなどの自動診断を実現できます (Watanabe et al., Neural Networks. 2024)。
脳波に、どのような脳情報が表現されているかを数理的に解明し、新しい脳波特徴を得ることができます (Fukuma et al., Communications. Biology. 2023)。
大量の頭蓋内脳波から、ヒトの思考を特徴づける脳波を明らかにします(Iwata et al., Nature Communications, 2024)。
我々はAIや新しい数理手法を用いて神経の情報表現を明らかにします。
脳波・脳磁図の多施設コホート
(大阪大学精神科・脳神経外科、高知大学、日生病院、関西医大との共同研究)
てんかん
頭蓋内脳波 約100名
脳波 約1300名
脳磁図 約300名
(大阪大学脳神経外科・小児科、大阪府母子センター、吹田市民病院との共同研究)
Aoe et al., Scientific Reports, 2019
4.神経情報学
ウエアラブルセンサーなどを用いて日常的に計測される生体信号を使い、健康管理や健康増進を目指します。
神経情報は脳波などだけでなく、筋電図や運動解析データなど、ヒトの状態を推測するための生理信号を広く含みます。我々は、侵襲的な頭蓋内脳波からウエアラブルセンサーまで広く生体信号を神経情報としてビッグデータ化し、情報を解読し制御することで、健康増進から神経機能再建まで多様な医療応用を目指します。このために、医学だけでなく、情報や工学、神経科学など異分野を融合した研究を行える人材育成を目指しています。