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老年内科が中核となる診療

老年内科は単に高齢者を診療するというのではなく、「老年医学的アプローチが必要な高齢者」を診療することが役割です。
「老年医学的アプローチ」が必要かどうか、そういったアプローチが必要なのかを評価することが大事です。
初診時、病態が変化した時、家族の状態が変化した時などに評価します。
評価項目は、一般診療での合併症や既往歴のほか、生活機能に影響を与える項目を総合的に評価します。
高齢者総合機能評価(CGA)は有用なスクリーニング・評価ツールです。
具体的な診療内容は、診療の対象となる病態や状態にキーワードの形でまとめています。
すべてに通じるのが「フレイル(frailty:健常と要介護の間の状態)」です。
「Multimorbidity」は多疾患併存などと訳されますが、単純に多数の疾患を合併しているというだけでなく、それぞれが密接に関連しているため一つの病気の診療だけでは不十分な状態です。疾患と表現しにくいような各種の徴候も含まれ、「老年症候群」として総合的な管理が必要です。
「ポリファーマシー」は多剤併用と訳されることがありますが、単純に薬剤数だけでなく他剤による薬物治療の弊害が出ていることが大事なポイントです。どの薬剤が優先順位が高いかを判断しながら減薬することも診療の一つで、choosing wisely や more or less といったフレーズでその重要性が啓発されています。
「低栄養」は、高齢者でよく見かける病態ですが、人は歩けなくなり、食べれなくなり、そしてなくなっていくという表現がありますが、その最後の姿にとらえられがちです。老年医学的には、その背景を見極め、適切な栄養管理、それに伴う運動指導を併用することで、生活機能の回復につなげることを行います。
「もの忘れ・認知症」は、精神科や神経内科でも診療しますが、老年内科では、まさに初期の段階からかかわることが多いです。老年内科医としての基本の診療スキルです。
「ふらつき・転倒」について、転倒に伴う骨折とその後の寝たきりや生命予後への影響が大きな関心事です。転倒防止、転倒後の骨折防止のために取り組むべきポイントは、鑑別診断においても治療介入においても多面的であり、老年医学の教科書では「Falls」という1章が設けられるほど重要かつ専門的スキルが求められる病態です。
生活機能が低下してくると高齢者は一人暮らしが困難になり(要支援)、介護が必要な時間帯や状態が増えてきます。「要支援」、「要介護」の状態は原因やその程度に応じて医療者の関わり方は様々ですが、多職種とどのように連携することが必要なのかを見極め、患者中心の医療やケアを推進することが老年内科医としての資質として重要です。
「エンドオブライフ」に目の前の方があるのかを判定すること自体、慢性に進行する病態では判定が難しいことが多いです。それでも、スキルとしてその状態に至る確率を推定し、至る前からあるいは至った状態において最善のサポートができる体制を構築することは、医療人として大事です。その過程において「緩和ケア」や「アドバンスケアプランニング」を実践する場面も出てきます。特にこの部分は、老年内科医単独ではなく、むしろ多職種連携で実践すべきケアになります。
老年内科医は、置かれている医療環境によっては内科以外の診療科の支援をすることも多々あります。
「多職種協働」の重要性は理解いただけると思います。
「高齢者外科手術の内科的支援」は、老年医学的アプローチによる支援です。例として、がん手術患者の術前に高齢者総合機能評価を行い、術後せん妄のハイリスク群の抽出やその予防、ポリファーマシー対策を行うことなどがあげられます。欧米の先進的な地域では、大腿骨頚部骨折患者の手術に際して、老年内科医が中心となった多職種チームが、老年医学的アプローチを含めた内科全般にわたる術前後の管理を行っています。

(2020.4.6作成)

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