Mission & Goal

皆さん、こんにちは。

私たちの最先端医療イノベーションセンターは、適塾に由来する大阪大学の沿革の中でも歴史に残る事業としてセンターのHPにも示されています。
がん・免疫・再生等の領域で、世界最高水準の最先端技術の融合と技術融合と産業化を念頭に置いて、先端技術実証・評価設備整備費等補助金(「技術の橋渡し」拠点施設等整備事業)により平成26年4月に開設されました。
同業他社の企業群が同じ屋根の下で開発研究を行い、強力な産官学連携体制で企業、大学、異分野領域の研究者が同じ施設内に集まっており、基礎研究からシーズの創出、育成、実証研究、実用化までをシームレスに繋げ、オープンイノベーションを実現する機能を備えた、世界に類を見ない施設です。
大学の基幹講座とともに活動しながら、特に私たちは、喫緊焦眉の重要な課題にフレキシブルに対応して産学連携を通じた成果を高めていくことがミッションです。
「志」を大切にしています。志は、壮大であるべきで共感を生み、その実現のためには事前の準備が必要です。そのために、イノベーションの能力を高め、人的ネットワークを構築します。
アカデミアでは、研究の成果がもっとも基本です。その成果を企業・団体様とともに分かち合いながら滋養を深めていき、そこで生まれた新たな気づきやノウハウを再び基礎研究の場にフィードバックする循環を組み立てる。このような「エコシステム」による価値の最大化を目指していきます。

私たちの研究室は最先端医療イノベーションセンター棟の8階にあって、HIROTSUバイオサイエンス株式会社、医療法人錦秀会、いであ株式会社、医療法人協和会、ユニーテック株式会社の出資による共同研究講座です。
私たちは臨床に寄り添う最先端のトランスレーショナルリサーチとして、がん等の難治性の疾患に対するバイオマーカー技術、創薬技術、育薬技術に取り組んでいます。いずれの研究も、他に類を見ない革新的な診断法、画期的な治療法の実現に向けて着実に駒を進めています。

私たちの講座は

産官学が一体となって新薬開発と評価に取り組んで行かなければならないという強い社会的要請から本センターが設置されました。
最先端融合型の叡智を結集して世界に類を見ない創薬・育薬プラットフォームを構築することにより、特に難治度の高い疾患に対して画期的な新薬を創出・評価・展開を図ります。
大阪大学大学院医学系研究科・消化器外科講座等との密接な連携により、これまでは知られてこなかった新しい生物を用いたバイオマーカー診断技術、質量分析と量子シークエンサーを組みわせた最先端の技術を組み合わせた高精度の診断技術、病態の中核を成すステムセルの本態を応用可能なレベルにまで掘り下げて研究開発します。
これまで蓄積してきた診断や治療の大阪大学の技術を応用に向けて展開していきます。またその中から、新たな知財を生み出して、エコシステムで社会実装を展開していきます。
その点では大阪大学には未来医療センターがあって、効果的で迅速な社会実装を実現しやすい大きな優位点があります。これまで培ってきた、線虫を用いた生物診断技術、患者病態を忠実に反映するヒト化モデルの構築、臨床材料から出発した治療抵抗性評価解析、がん幹細胞の革新的な代謝解析、トランスオミクス解析、高精度予測分子マーカー、コンパニオン創薬、次世代核酸創薬、画期的薬剤到達システム、ドロップ再開発等を着実に具現化してまいります。

他にはないシーズを発見し、これらの世界一を目指します。

講座の運営方針

  • 基本は人材育成: 雇用契約として施設の方針に準拠し出資元の意向を尊重するのは基本です。しかしそれだけに留まらず、大学人として多くの付加価値を創成しようと考えています。そういう背中を見せることが一緒に仕事をして次世代を担う多くの若者の活力に繋がると信じています。私たちの講座には、寄附講座からの人たちを含めて、研究に専念する、アソシエート・プロフェッサー(講師)、アシスタント・プロフェッサー(助教)、ポスドク(研究員)がいます。彼らはいずれ運営側の立場に立つ人材と見込んで切磋琢磨しています。消化器外科をはじめとした講座から派遣されてきた多くの大学院生と共に研究をする機会に恵まれています。上司はメンタルヘルスケアのプロになる必要があります。若手逸材の組織行動とリーダシップを育てていきます。
  • 研究費は外部から: 寄附講座や共同研究講座では産業界から出資金をいただいておりますが、それらは主として人件費やリース代として使用し、開発研究資金はほぼ全額を競合的外部資金で運営しています。普遍性の高い重要な内容であれば必ず社会から必要とされ、そのような事業は公募として採択される。その後は計画に沿って成果を見ていく。研究者として当たり前のことを積み重ねていくことが大切と考えています。あらかじめ特定の方向が付与された受託研究では特に産学連携が重要で、短期間で具体的な成果を期待できます。
  • 適した場所: センターとして、大変素晴らしい施設環境を整えていただきました。経産省、大阪大学、出資元企業をはじめとして多くの方々に深謝しています。私達の少ない経験からしても、洋の東西を問わず、施設の美しさと建物の中で行われている研究の質とは必ずしも比例しない例が少なくないことも確かです。古めかしい設備でありながら、複数のノーベル賞受賞者が在籍している欧米の施設があります。そのことは私たちもしっかりと肝に銘じて、感謝とハングリー精神でいたいと思います。
  • コラボの精神: サイエンスビッグバンの時代では、共同研究は必須です。インパクトの強い雑誌に投稿するときは査読内容も多岐に及び、専門外のこともアドレスしなければならないことが少なくありません。そのような場合に共同研究は力を発揮します。一般論ですが、共同研究では「少々自分達が齧っていても、相手に任せるべきは任せる」のがよいコラボのコツと感じています。
  • 利益相反の処理: 私たちの施設では、同じ屋根の下に同業他社がいます。またアカデミアと企業が入り組んでいます。エレベーターで出会う顔や会話は驚くほど多彩です。そのような環境だからこそ、利益相反の適切な開示、 openness と confidentiality の両立、健全なマルチスタンダードなどが求められます。浪速に独特の空気に流れているのを時々感じます。

研究内容の紹介

科研費などの公的資金で行われた研究の原資は税金ですから、時期がくれば成果を適切な時期に公表することは当然求められます。しかし一方で、産学連携の制約上、あまり具体的なことは即座にHP上で書けないことも少なくありません。HPで記載すると公表したことと同義となり、知的財産の特許活動にそぐわないからです。私たちの研究内容は差し障りのない範囲で順次公表していきたいと考えています。

今後の展望

総長が、大阪大学は創立100周年を迎える 2031 年には、研究型総合大学として世界のトップ 10 に入ることを目指すと方向性を示されています。私たちもその旗印のもとに少しでも邁進していきたいと皆一同、決意を固めています。不言実行、私たちの出来ることは、着実にしっかりと成果を出していくことと思います。

最後に、今年も3月には私たちの大学院生が巣立ち、海外ポスドクや国内助教としてアカデミックポストに就きました。これから将来に本格的な研究職を目指したい若者(大学院生)の参加を歓迎します。

一緒にやりませんか?