教室紹介
HOME教室紹介 >「脳神経系の発生・再生の融合的新展開」  診断と治療社
もどる
「脳神経系の発生・再生の融合的新展開」診断と治療社
中枢神経回路の修復現象とそのメカニズム
山下俊英

はじめに

脳卒中や脳・脊髄の外傷などによって中枢神経が損傷されると、破壊された領域が担っていた機能が失われる。長い経過を通じて機能回復が認められないことも あるが、自然経過で、あるいはリハビリテーションを受けることで、失われた機能が徐々に回復してくることがある。この機能回復は、損傷を受けた神経回路の修復に基づく。これはどのような現象なのだろうか?神経回路の修復は、ジグソーパズルの欠けたピースを見つけて、はめ込むような作業ではない。複雑に絡み合った水路が、どこかの地点で壊れてしまった後、再び水を隅々まで行き渡らせるために、新たな水路を掘り進むようなものである。その際、水路を元通りの形に復元することが目的なのではなく、水を適切な場所に運ぶことが重要となる。もしも我々がその業務を請け負うとすれば、少ない作業量でより効率的に水路を修復する方法を考えるだろう。破壊された場所に再び水路を通すことが困難であれば、あえてそこを避けて、迂回路やショートカットで水を運べないか考えるだろう。最近の研究により、まさに生体はこのような戦略で、壊れた神経回路を修復させることがわかってきた.....

もどる
ページの先頭へ