本研究の最終目標は、脊髄損傷(外傷性及び非外傷性)による神経症状を改善する分子標的治療薬を開発し、臨床応用を実現することである。脊髄損傷、脳血管障害、脳外傷などにより、いったん傷害を受けた中枢神経系機能は回復せず、有効な治療法はいまだ存在しない。研究開発代表者はこれまで、損傷した神経回路の再生を制御する因子を同定し、その分子メカニズムを明らかにした。得られた基礎研究成果を基盤として、企業との共同研究により、ヒトへ投与するための分子型である抗RGMヒト化モノクローナル抗体の創製を行った。この抗RGM抗体はRGMの作用を抑制した。脊髄損傷ラットに当該抗体を局所投与したところ、顕著な運動機能の改善および損傷した軸索の再生を認めた。成体アカゲザルの脊髄損傷モデルにおいても、当該抗体は運動機能、特に巧緻運動の顕著な改善、および損傷した軸索の再生をもたらした。さらにRGMの神経細胞への作用の分子機序を明らかにし、薬効の科学的基盤を確立した。
平成31年に医師主導臨床試験を開始する予定である。このため本研究開発においては、ヒト化抗RGMモノクローナル抗体の非臨床試験、治験薬製造、治験準備を進める。 令和1年度に終了した橋渡し研究戦略的推進プログラム事後評価結果の開示
総合評価点 8.0 (10点満点中)
強みについての記載
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「、、、特筆すべき事項と考えます。」
「、、、十分な成果である。今後の進展が期待される。」
弱みについての記載、なし。 |