呼吸器外科は、肺・縦隔・胸壁・気管・気管支などの胸部疾患に対して外科的な治療を行う診療科です。
対象疾患は、肺がんを中心とし、転移性肺腫瘍、縦隔腫瘍、重症筋無力症、気胸、膿胸、胸部外傷など多岐にわたります。さらに、大阪大学呼吸器外科は肺移植実施施設として肺移植・心肺同時移植を行っており、呼吸不全全般の疾患を扱っています。また、大阪大学呼吸器外科では、胸腺腫・重症筋無力症の病態解明のみならず術式の開発を教室の代表テーマとして継続して行っており、全国から難治性の縦隔腫瘍の患者さんが集まってきます。
呼吸器外科医になるステップとして、初期臨床研修終了後に大阪大学外科連携施設で一般外科研修と呼吸器外科研修を行うことにより、卒業後6年で外科専門医を取得、さらにその2年後に呼吸器外科専門医取得を目指します。また、呼吸器外科専門医を取得する時期に合わせて、多くの先生は大学院へ進学し、肺がん、胸腺腫瘍、移植免疫や再生医療などの基礎研究を行い、医学博士を取得しています。
その後は大学や基幹連携病院で勤務し後進の指導を行ってもらいますが、海外留学希望者には医局として積極的に支援しています。
大学院には進学せず、臨床医として研鑽を積む選択も可能です。
急増する肺がんなど呼吸器疾患の治療を行っていくには呼吸器外科を専攻する人材の育成は急務です。
呼吸器外科専門医をめざす医師を、性別、出身大学を問わず広く受け入れ、大阪大学および連携施設での呼吸器外科研修の機会を提供しています。日本の呼吸器外科臨床を支える人材を育成するとともに、国際レベルでの呼吸器外科の臨床と研究の発展に寄与する人材の養成に貢献することが、われわれの重要な役割です。
外科医を目指す先生方のひとりでも多くが私たちの仲間となり、将来の呼吸器外科を発展させてくれることに期待しています。
大阪大学および連携施設では、年間約3500例の呼吸器外科手術を行っていますが、その半分は肺がん手術です。大学が若手医局員の経験症例数を定期的に把握し、がんセンター・総合病院・呼吸器専門病院・大学病院といった特色の異なる施設で幅広い疾患・手術方法の経験を積んでもらい、応用力ある呼吸器外科医として活躍できる人材を育成しています。
日本のがん死亡を部位別にみると肺がんが最多であり、肺がん外科治療の重要度はますます高くなってきています。肺がん手術は、開胸手術からカメラを用いた多孔式胸腔鏡手術、さらに単孔式胸腔鏡手術やロボット支援下手術へと進化し、大阪大学呼吸器外科でも積極的に導入しています。一方で、薬物治療の進化に伴い、進行肺がんに対しても、気管支形成術や大血管など周囲臓器合併切除などの拡大手術によって根治が目指せるようになりました。
外科系診療科の中でも比較的女性が多く、女性だけでなく男性医師にもワークライフバランスを大事にしてもらうことを医局として目指し、ジェンダー平等が進んでいます。医師の働き方改革を受け入れて実効性のある医局運営を行うために、より多くの人材を集めて業務をシェアし、各人のキャリアアップに必要なスキルを磨いて頂きます。
若手への手術指導
若手Drs