当院の特徴は、

  1. 常に産婦人科医が2名以上、新生児担当医が1名以上院内にいること
  2. 常に麻酔科医が2人以上院内にいること
  3. 常に院内に豊富な輸血用の血液ストックがあること

の全てを満たしていることです。妊娠・出産は昔と比べずいぶん安心・安全なものになりましたが、それでも「命をかけてお母さんになる」ことに変わりありません。また、近年の妊娠年齢の高年化や不妊治療の増加に伴い、これまでになかったリスクが増えてきています。大阪府では最重症妊産婦の発生数を調査していますが、毎年約170人に1人が命の危険のある妊娠・出産を経験し、その割合は40歳以上ではさらに多くなっています (25~29歳にくらべ、40~44歳では約3.7倍、45歳以上は約20倍の頻度でした)。大阪府の調査によると、妊産婦が命の危険にさらされる原因の第一位は、今でも分娩時の出血なのです。すなわち出産に関わる医師が多いこと、輸血用の血液が多くあることが最も「安全」につながります。同時に助産師が妊婦健診の時から出産・産後まで一貫して相談にのる、母児同室のサポートを行うなどの細やかな「安心」を提供することを心がけています。

[1]から[3]までの特徴は、多くの先進国では分娩を扱う施設において当たり前に用意されていることであり、特別な妊婦さんだけに必要な条件ではありません。これらの条件が整った阪大病院での出産をぜひお考えください。また体外受精など (提供卵子による妊娠などを含む) の高度生殖医療で大変な思いをして妊娠された方々にも、麻酔科、小児 (新生児) 科、血液ストックの揃った当院での出産をお勧めします。

特に合併症をお持ちでなくても、ご自宅が近い方や大きな施設での出産を希望されている方の分娩も大歓迎です。

当院では病棟と外来が一元化されているため、病棟助産師が外来も担当し、計測や説明・指導を行っています。妊婦健診や産後ケアを他の施設と連携して行うことも可能ですので、ぜひご相談ください。

様々な合併症をお持ちの方

産科外来 (妊婦健診、合併症妊婦診) では心臓病、糖尿病、てんかん、自己免疫疾患、甲状腺疾患、精神疾患など様々な合併症を持っている妊婦さんを専門的に管理しています。合併症の性質や程度にもよりますが、健診の間隔を短くしたり、各科の専門医との密接な連携を行ったり、より細やかな配慮が必要です。合併症の治療を他院で受けている方はその疾患に関しても当院を受診して頂く事があります。
また前置胎盤、癒着胎盤などの分娩時出血リスクがより高い妊婦さんへの対応も麻酔科、放射線科、救急科などと連携し行っています。

多胎妊娠

当院では双胎における経腟分娩を積極的に行っていますので、ぜひご相談ください。
*分娩予約の状況によっては当院を受診された際に受け入れをお断りすることがございます。ご了承ください。

帝王切開後や子宮筋腫手術後の経腟分娩

当院では過去に帝王切開後の経腟分娩を行ってきました。しかし緊急帝王切開への移行が必要な際の安全性を常時担保することは困難と考え、帝王切開後の妊婦さんには原則的に予定帝王切開で対応致します。ただし、妊娠22週未満の分娩や死産は除きます。
子宮筋腫手術後の妊婦さんについては条件により経腟分娩が可能な場合がありますので、ぜひご相談ください。

無痛分娩

2023年4月以降、24時間体制の無痛分娩は休止していますが、医学的に無痛分娩が必要な妊婦さん (心疾患合併など) には麻酔科と協議の上、対応しています。

外来の詳細

外来日 毎週月曜日から金曜日、終日
担当医 月曜日:河野まひる
火曜日:三宅達也
水曜日:平松宏祐
木曜日:中村幸司
金曜日:川西陽子