カリキュラム

curriculum

カリキュラム

1年次

知識欲次第でどこまでも深くほりさげることができる

一年次から二年次の前期においては主として豊中キャンパスで一般教養を学びます。そして二年次後期からは専門のみを吹田キャンパスにおいて学ぶこととなります。つまり、一年次から二年次前期というのは医学という専門以外のことを学ぶこれとないチャンスということができましょう。自分で学びたいと思っていてもなかなかどこから入ればいいのかなど悩んで結局手付かずになってしまうことなど往々にしてあるでしょう。一般教養の授業ではまずその入り口に立たせてもらうことができ、さらに教えてくださる先生はその分野の専門家であるため自分の知識欲次第でどこまでも深くほりさげることができます。自分の知識の幅を広げるいい機会ですので有効活用して自分の知識欲を満たしていくと良いでしょう。

2年次

基礎医学講義と実習(1–3年生)

1年生後期から基礎医学の講義が始まります。具体的には、分子細胞生物学、遺伝学、生化学などの生命科学の根幹をなす分野の講義が開始されます。2年生からは吹田キャンパスに移って、本格的に基礎医学の講義と実習が始まります。解剖実習、基礎医学実験を通じて、医学部の学生であることをあらためて実感します。またこの学年から、native speakerの指導による医学英語が開始されます。3年生での基礎医学講座配属は、基礎医学における自主的な研究の場として半世紀近い歴史を持つ本学の名物科目の一つで、約3ヶ月間各講座に配属されて基礎医学研究に専念します。この期間に国際的な医学雑誌に掲載されるような研究成果を挙げる学生もたくさんいます。

人体の精密さや命の尊さを実感

2年次の基礎医学講義では、人体の正常な構造と機能に関して学びます。細胞生物学や生化学などミクロな分子レベルの内容から、解剖学や生理学など人体を形作るマクロな構造まで、幅広い分野の講義があります。いずれも医学を理解するうえで根本となる極めて重要な内容で、3年次で学ぶ病理学や薬理学の内容のほとんどは、2年次に習った概念の組み合わせとして説明できる、と言っても過言ではないと思います。
講義だけではなく、実習でも多くのことを学びます。解剖学実習では実際のご遺体を前にし、人体の精密さや命の尊さを実感できます。また、遺伝学や生化学の実習は、基礎医学研究で多く用いられる実験手法を一通り体験できる貴重な機会なので、積極的に参加して下さい。

3年次

医学の先人たちの発見を追体験する

3年次のカリキュラムで最も印象に残っているのは「基礎医学講座配属」と「後期機能系実習」です。基礎医学配属では、それまでのように授業を聞いて教科書の内容を勉強するのではなく、自分で基礎医学の研究室を選び、そこで3ヶ月間、自主的に研究を行います。私は脳生理学の研究室に通い、先生に助けられながらではありますが、実験の計画からデータの解析、発表までこなしました。ここで、基礎医学研究のメソッドを一通り理解したとともに、基礎医学研究への関心を深められました。そして、後期機能系実習では、薬理学(薬の効き方)や免疫学(体を異物から守るしくみ)などについて、実験を行います。医学の先人たちの発見を追体験することにより、今まで得た知識が有機的なものとなりました。

4年次

臨床医学と臨床導入実習(4年生)

3年生の1月から臓器別の臨床講義が始まります。また、秋から臨床導入実習が開始されます。臨床導入実習は臨床実習の準備教育であり、医療面接、基本的な診察方法、外科手技、救急蘇生法などについて模擬患者やシミュレーターを用いて実習します。4年生の最後に医学生の知識・技能・態度を評価するための全国共通試験(CBT※およびOSCE※)に合格すると晴れて臨床実習への参加が許可されます。

さらなる将来につながる特に大事な一年

臨床医学講義では、病気の原因・症状・治療などについて、各診療科の先生方が講義してくださいます。先生方が実際の病院での症例などを交えて話してくださり、具体的にイメージしながら学べます。さらに、今ある治療法だけではなく、これからの治療法や研究の話などを先生方がしてくださるので、非常に興味深く、もっと知りたいという好奇心を掻き立ててくれるような内容です。臨床導入実習は、5年次より始まる臨床実習に向け、患者さんとのコミュニケーションの練習や、手洗い、縫合、聴診の練習などを行う実践的な実習で、医学生としていよいよ病院での実習が始まるのだと気が引き締まる思いと共にワクワクがあります。4年生は、5・6年生の臨床実習、そしてさらなる将来につながる特に大事な一年だと思います。

5年次

臨床実習(5–6年生)

4、5、6年生の臨床実習では、内科、外科、救急、麻酔科を中心とした実習が6ヶ月あり、その後、それ以外の診療科の臨床実習が開始されます。この時期になると、患者さんと直接接することで、医師になることを実感します。5年生の最後の2ヶ月では、臨床研究も選択可能な研究室配属の期間を設けています。臨床実習は、主に大阪大学医学部附属病院で行いますが、学外の関連病院での実習も組み込んでいます。大阪大学の臨床実習は、診療参加型のクリニカル・クラークシップ※制を導入しています。これは学生が病棟研修医に師事し、診療チームの一員となって病棟での診療に参加し、肌で臨床を体験して学んで行くシステムです。6年生の前半の3ヶ月は1ヶ月単位の選択実習期間で、この期間は学生の志向に合わせて、臨床実習、海外実習、基礎研究、地域医療などの選択が可能です。本学では6年生後半の卒業試験を廃止しており、臨床実習終了後は総合的な臨床能力を確認するためのPost-Clinical Clerkship OSCE (PCC OSCE)を導入しています。

医師として必要な人格も実習で身に着ける

臨床実習で私たちが学ぶことは大きく分けて2つあります。まず一つは、座学の知識を検査や治療の見学を通して実臨床と結びつけることです。実際の医療では同じ病気でも患者さんごとに検査や治療が異なることなど、教科書で学習できないことを実習で学びます。もう一つは、真摯に患者さんと向き合うことの重要性です。患者さんの立場になって考え、親身になって話を聞くことで、非常に良い信頼関係を築くことができます。「藤山くんと話していたら段々安心して気持ちが楽になって、頑張れました。」実習で私が癌患者さんから言われた心に残る一言です。このように6年次では必要な知識を身に着けるとともに、医師として必要な人格も実習で身に着けます。

6年次

卒業後の進路

大学卒業後、医師国家試験に合格したのち、2年間の初期臨床研修に従事します。大阪大学医学部附属病院では、2年間の研修で厚生労働省が定めた行動目標、経験目標を円滑に達成できます。必修科目(内科、救急部門、地域医療)、選択必修科目(外科、麻酔科、小児科、産婦人科、精神科 最低各1ヶ月)に加え、すべての診療科より選択して研修できる期間を8ヶ月設け、広範囲かつより高度な内容の研修を行っています。

卒後20年位までの主なキャリア形成と、具体的に阪大生がどのような進路に進むのかを示します。

卒後臨床研修は、初期の2年の後、3~5年の後期研修があります。

卒業生の3分の1は研究者や教育者に

用語解説

  • CBT : 知識試験
  • OSCE : 実技試験
  • PCC OSCE : 卒業前の臨床能力を評価する総括試験
  • ポリクリ(ポリ・クリニック) : 見学型実習
  • クリクラ(クリニカル・クラークシップ) : 参加型臨床実習
  • 基礎医学 : 正常なヒトのからだについて、疾患とその原因・くすりについての学問。臨床医学や医学研究の基礎となる。
  • 生理学 : ヒトのからだの働きとその仕組みなどを研究する学問
  • 形態学 : ヒトのからだの構造やその形成・分化などを研究する学問
  • 生化学 : 生物を構成する物質とその役割、代謝などを研究する学問
  • 遺伝学 : 生物の形質の伝達、発現の様式と機構などを研究する学問
  • 医学英語 : 学術論文のリテラシーの習得や学生・卒後での海外でのキャリアを見据えた英語の医学専門用語のレクチャー
  • 早期臨床体験実習(2年次) : 阪大病院の看護師・薬剤師・管理栄養士の業務を体験実習