あたたかな医局の雰囲気
私はもともと大学までは福岡で、初期研修から医師4年目までは東京で生活をしていました。その後、夫の転職に伴い大阪大学産婦人科に移りました。専攻医として修練を積んでいる途中でのプログラム変更、初めての大阪での生活に緊張していましたが、阪大の先生方はとてもあたたかく迎え入れてくださり、とても安心したことを今でも覚えています。

豊富な症例とアカデミックな環境
阪大にきてみると、はじめはちょっとしたお作法の違いに驚きの連続でした。手術で立つ位置が関東と関西で違うよ、と噂で聞いていたのですが、本当でした。大学院に進学するまで合計1年半を大学病院、半年を国立循環器病研究センターで過ごしましたが、どちらも多様で複雑な症例を多く経験できました。特に大学は、産科も婦人科もガイドラインでは全く太刀打ちできない症例ばかりで、論文で最新の知見を入手し続けることの大切さを学びました。大学での修練のおかげで「論文を読む」ことへのハードルはかなり下がった気がします。そして何より、上級医の先生方は教育熱心な先生ばかりで、レジデントであっても執刀を経験でき、病棟管理の難しい症例も、ディスカッションを重ねながら的確なアドバイスをいただける環境で、とても充実した時間を過ごすことができました。

新しい自分を発見できた大学院進学
私が所属する病理研究室では、皆、がんに関する研究テーマで、指導医と大学院生がペアになり研究をしていますが、その内容は多岐にわたっています。私は現在、がん疫学の分野で医療統計などを学びながら婦人科がんの地域格差についての研究を行っています。
大学院進学を考え始めたきっかけは、「先輩の先生方が楽しそう」だったことでした。もともと研究の知識があるわけでも自分がやりたい確固たる研究テーマがあるわけでもありませんでしたが、大学院という未知の世界で楽しそうにされている先生方をみて自分も飛び込んでみました。研究をはじめてみると、少しずつ知見が広がるにつれて、自分の中でのリサーチクエスチョンもどんどん沸き上がるようになり、いつの間にか研究にはまり、研究を楽しいと感じている自分がいました。そして研究をはじめてからの3年の間に、国内外の様々な学会に参加したり、研究内容に関連してラジオ出演や取材を受ける機会をいただいたり、と幅広い経験ができました。

プライベートの時間も充実
大学院2年の春に出産を経験しましたが、子供の急な体調不良などに柔軟に対応できたのは大学院生ならではの利点かと思います。大学院生の仲間たちにもたくさん助けられました。時には悩みを聞いてくれ、時にはお互いの近況報告をし、仲間が頑張っている姿をみると、自分も頑張ろう、と心を奮い立たせることができました。研究・業務・家事育児を両立させることは、想像以上に大変なこともありましたが、自分なりに工夫してスケジュール調整を行うことで、プライベートの時間も十分に確保できたのはとても良かったです。


大阪大学産婦人科はとてもあたたかな雰囲気で、高い指導力のもと、豊富な症例を経験できる、産婦人科医にとって最良な環境です。大きな組織であるからこそ、仕事と家庭の両立もしやすいと思います。そして大学院に少しでも興味がある方はぜひ進学をおすすめします。飛び込んでみて初めてみえる景色があります。それはとても楽しくおもしろい世界で、必ず人生にとって有意義なものになると思います。ぜひ一緒に学び、成長しましょう!