産婦人科人生における大事な土台を作った

私は、市立豊中病院で2年間の初期研修を行い、3年目からは大阪大学産婦人科研修プログラムの一貫として、同病院での産婦人科研修を開始しました。基本の『き』を丁寧に指導して頂けるスタイルでありながらも、地域の周産期拠点病院の一つとして、いざとなったら手術室までストレッチャーを走らせる。そんな病院で2年間経験を積み、今後の産婦人科人生における大事な土台を作って頂けたと感じています。後期研修最後の1年は、大阪大学で研修しました。それまでは上級医の指導に従い、ガイドラインを確認しながら診療経験を積む日々でしたが、大阪大学で出会うのは、それではまったく太刀打ちできない症例ばかりで、指導の先生方も、その程度の知識では認めてくれません(笑)。自ら文献を検索してデータや知識を集め、目の前の患者の場合はどうか?この人にとってのベストは何か?と当たり前に考える思考力は、大阪大学で培われたように思います。

大学院進学で得られた財産

後期研修終了後は、大阪大学大学院に進学しました。元々、研究についてはまったく知識もイメージもなく、大学院で何ができるのか、正直なところよくわかっていませんでした。ただ、大阪大学での後期研修を通して、自分はまだまだ未熟であることを痛感し、研修終了後は少しadvancedな研鑽を積みたいと考え、進学を選択しました。配属された周産期研では胎児疾患専門外来にも従事するので、研究と並行してエコー技術を磨き、専門的な知識を得られる点も魅力でした。いざ大学院で研究を始めると、まったく未知の世界に四苦八苦し、なかなか結果が出ず進学を後悔しかけたことも・・・。ですが、周りの先生方やスタッフ、先輩後輩に助けられ、気づけば大学院4年になった今振り返ると、ここで得られたアカデミックな興味、広く深い視野、論理的な思考力は、大学院に進学したからこその財産であり、今後の産婦人科人生にとって大きな糧になったと感じています。

自分だけのライフスタイルを切り開く

大学院在学中の大きな転機の一つは、出産を経験したことです。夫はまったく違う業種の人でしたが、出産を機に、なんと専業主夫になってくれました。家事育児を夫に任せられるという恵まれた状況ですが、「家庭をセカンドにしない」をモットーに、学業・勤務と家庭のバランスを取れるよう、試行錯誤しています。ありがたいのは、教室の先生方はみなさん、私のわがままな理想を理解し、尊重してくださる点です。自分自身の研鑽も積みながら、子どもの成長も見逃さず、自分だけのライフスタイルを切り開く。そんなことを自由に目指せているのも、周囲の理解・協力と、大学院でのフレキシブルな生活があってこそだと感謝しています。自分の人生にとって、多方面に有意義な時間を過ごすことができました。

みなさんそれぞれに人生の目標があり、現実の生活があると思います。大阪大学産婦人科では、高い指導力は言うまでもなく、多様な選択や希望を受け入れてくれる器があります。入局や大学院進学を考えておられる先生方、大層な勇気や覚悟は不要ですので、ぜひ教室の扉を叩いてみてください。