診療

診療内容のご紹介(患者さん向け)

認知症とは

認知症とは加齢や神経変性、血管障害などの様々な原因によって記憶力などが低下し、日常生活に支障を来した状態のことをいいます。

認知症の前段階として日常生活に支障をきたすほどではない軽い物忘れがある状態を軽度認知障害(Mild Cognitive Impairment : MCI)と言います。

主な症状(中核症状)としては記憶障害(同じことを何度も聞く、物を置いた場所がわからなくなるなど)、見当識障害(日時がわからない、今いる場所がわからないなど)、実行機能障害(計画を立てて、順序よく物事を行うことができない)、失語、失行、失認(言葉が出ない、文字が読めない、服が着られない、道具が使えない)などの障害があります。

また中核症状を元にして、身体的な要因、環境の要因、心理的な要因の影響を受けて、出てくる様々な行動・心理状態(Behavioral and psychological symptoms of dementia : BPSD)があります。

認知症の原因

認知症とは認知機能の低下により日常生活に支障を来した状態をさす言葉であり、その原因をさす言葉ではありません。認知症の原因となる病気としては表のような多数の病気があります。

認知症の原因疾患のうち約6-7割をアルツハイマー型認知症が占めており、最も頻度の高い疾患です。その頻度の高さから「認知症=アルツハイマー病」というイメージを持っている方も多いですが、アルツハイマー病はあくまでも認知症の原因の一つです。次いで、脳血管性認知症が約2割を占めており、これらの病気は合併することもあり、合併した場合には混合型認知症と言われます。これらの頻度の高い、アルツハイマー型認知症、脳血管性認知症に加えて、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症を合わせて四大認知症疾患と呼ばれることがあります。

認知症を起こす病気の多くは、現時点では完全に治すことはできません。進行性の病気のため、時間の経過とともに悪化していきます。しかし、早期から予防対策や治療を行えば症状の進行を遅らせ、元気でいる期間を長くすることができるため、可能なかぎり早期に診断することがとても重要になります。特に、正常圧水頭症や、慢性硬膜下血腫、甲状腺機能低下症やビタミン欠乏症、梅毒など一部の病気は治療可能な認知症(treatable dementia)であり、適切な治療を行うことで認知症に進行を止めることが可能です。

認知症の診断と治療

(文責:大阪大学大学院医学系研究科 老年・総合内科学 中嶋恒男)

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