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  • 中田 慎一郎≪細胞応答制御学≫ 「脱ユビキチン化酵素OTUB2によりDNA損傷応答性ユビキチン化が適切に制御され、DNA修復方法選択が正しく行える環境が整えられる」

中田 慎一郎≪細胞応答制御学≫ 「脱ユビキチン化酵素OTUB2によりDNA損傷応答性ユビキチン化が適切に制御され、DNA修復方法選択が正しく行える環境が整えられる」

免疫制御学-1
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2014年2月20日 発表
掲載誌Molecular Cell(2014) doi:10.1016/j.molcel.2014.01.030

脱ユビキチン化酵素OTUB2によりDNA損傷応答性ユビキチン化が適切に制御され、DNA修復方法選択が正しく行える環境が整えられる

放射線照射や一部の抗腫瘍薬の効果、さらには細胞の代謝により、細胞にはDNA2本鎖損傷が発生します。DNA2本鎖損傷は、適切に修復されないと細胞死や遺伝子変異を引き起こす非常に危険なDNA損傷です。DNA2本鎖損傷の修復においては、「相同組換え修復」と「非相同末端結合」という2つ方法があり、状況に応じて使い分けていると考えられています。この修復方法選択の分子機構は、現在注目を集めている研究対象です。今回、我々は、脱ユビキチン化酵素であるOTUB2が、DNA2本鎖損傷部位でおこるユビキチン化抑制的に制御し、DNA修復方法の選択が適切に行える環境を整備しているということを発見しました。OTUB2の発現が抑制された細胞では、ユビキチン化依存性に相同組換え修復抑制分子53BP1・RAP80が過剰に集積するため、相同組換え修復が選択されにくく、非相同末端結合が選択されやすい環境となってしまいます。OTUB2は過剰なユビキチン化を抑制することで、53BP1・RAP80の急激な集積を抑制し、相同組換え修復の選択を可能にしています。これまで、DNA2本鎖損傷部位に起こるユビキチン化とDNA修復との関連はほとんどわかっていませんでしたが、本研究によりその一端が明らかになりました。

 

URLhttp://www.bcr.med.osaka-u.ac.jp/public_html/index.html