2015年

 

西川 恵三、石井 優≪免疫細胞生物学≫ 「Dnmt3aを介した代謝エピジェネティクスは破骨細胞分化の制御にかかわる」

免疫制御学-1
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2015年2月23日 発表
掲載誌Nature Medicine 21:281-7, (2015) doi:10.1038/nm.3774

Dnmt3aを介した代謝エピジェネティクスは破骨細胞分化の制御にかかわる

細胞はいつ、どうやって自分の運命を知るのでしょうか。従来の理解によると、様々なサイトカイン・成長因子が細胞の分化・運命を制御すると考えられてきました。本研究では、マクロファージ系細胞の1つで関節リウマチなどの慢性炎症で骨を破壊・吸収する破骨細胞への分化・運命決定が、サイトカインだけでなく、その細胞の置かれた環境(特に代謝状態)が細胞内のDnmt3aによるエピジェネティク制御を介して巧妙に調節されるという、全く新しい概念を明らかにしました。
近年、全国民の4人に1人が65歳以上の超高齢社会を迎えている本邦では、加齢に伴う骨粗鬆症の患者数増加が大きな社会問題となっています。今回、Dnmt3aが骨粗鬆症の治療標的として有効であることも明らかにしました。今後、破骨細胞の分化にかかわる新たな制御様式であるエピジェネティク制御を創薬標的とすることで、新たな骨破壊抑制薬の開発につながることが期待されます。

 

URLhttp://www.icb.med.osaka-u.ac.jp/index.html   免疫細胞生物学 講座紹介