2015年

 

竹田 潔≪免疫制御学≫ 「E-NPP3は、マスト細胞・好塩基球によるATP依存性のアレルギー反応を負に制御する」

免疫制御学-1
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2015年2月17日 発表
掲載誌Immunity(2015) doi:10.1016/j.immuni.2015.01.015

E-NPP3は、マスト細胞・好塩基球によるATP依存性のアレルギー反応を負に制御する

近年患者数が増加の一途をたどる喘息やアトピーなどのアレルギー疾患は、マスト細胞・好塩基球によって引き起こされることが知られています。しかし、マスト細胞・好塩基球の活性が普段どのように制御されているかについてはわかっていませんでした。アレルゲンで活性化された好塩基球で発現が高くなる酵素E-NPP3 (CD203c)を欠損したマウスを作成したところ、マスト細胞・好塩基球が活性化状態になり、皮膚アレルギー、食物アレルギー、喘息が悪化することを見出しました。また、E-NPP3 はアデノシン三リン酸(ATP) を分解する膜型酵素であり、ATPのアレルギーへの関与を調べたところ、アレルゲンで活性化されたマスト細胞・好塩基球はATPを分泌し、分泌されたATPがマスト細胞・好塩基球自身をさらに活性化、アレルギーを悪化させることが明らかになりました。今後、ATP、 E-NPP3を標的とした喘息や皮膚アレルギーへの新たな治療法の開発が期待されます。

 

URL http://www.med.osaka-u.ac.jp/pub/ongene/  免疫制御学・講座紹介