外科学

心臓血管外科学

更なる進化を目指して課題の飽くなき追及と解決に邁進し、新しい心臓血管外科学を拓く
  • 10000例/年以上の心臓血管手術症例数を持つ大阪大学心臓血管外科病院グループの基幹施設
  • 全国の心臓血管疾患治療の最後の砦として ~心不全外科治療(心臓移植・補助循環など)
  • どこまでも体に負担の少ない心臓血管外科手術を目指して ~低侵襲治療(MICS, TEVAR, TAVI, ロボット手術など)
  • 再生医療・組織工学・細胞工学・バイオデザイン・AI・IoTによる最先端治療および研究業績
  • 指導者を目指す若手心臓外科医教育 ~徹底した術者教育・Academic Surgeonの育成
教授 宮川 繁
外科学講座 心臓血管外科学
130年以上の歴史を持つ本学外科講座は大正11年(1922年)に二講座化し、当研究室の前身である第一外科が開講しました。1956年に日本で第一例目となる人工心肺下開心術を施行以後、常に日本の心臓外科を牽引し、2005年の本学外科学講座統一後は心臓血管外科講座として現在に至ります。

絶えず時代を先取りする心臓血管外科学を見据え、Academic surgeonの育成し、既存の医療概念にとらわれない次世代医療を切り開く

大阪大学心臓血管外科は年間1000例以上の心臓血管外科手術を行う国内屈指の心臓血管外科施設であり、連携する40の大学・施設を含め2020年度には年間1300例以上の手術を行う大阪大学心臓血管外科グループの基幹施設となっております。
診療においては虚血性心疾患・心臓弁膜症・大動脈疾患・先天性心疾患・末梢動脈疾患など全ての診療領域において先進的手術を行っております。当研究室は国内初の脳死心臓移植・心肺同時移植・小児心臓移植を行なった実績を持ち、脳死心及び心肺移植認定施設(小児・成人)・植込型補助人工心臓装置認定施設に指定され、心臓血管疾患治療の最終受け入れ施設として社会に貢献しております。また、低侵襲心臓血管外科手術でもリーディングホスピタルとして広く認知されており、大動脈疾患においては2000例を超えるステントグラフト治療実績をはじめとして多数の臨床治験を行なっております。また、2010年には国内初の経カテーテル的大動脈弁移植術(TAVI)を行い、現在はTAVI認定施設に指定され、これまで1000例以上のTAVIを施行しております。さらには低侵襲開心術(MICS)も早期より導入しており、2017年には先進医療としてロボット手術を開始いたしました。

写真1 大阪大学心臓血管外科の先進的手術

一方、臨床研究を重症心不全・細胞治療評価、筋芽細胞シート移植、小児重症心不全、脱細胞弁移植、ONO1301治験、他家脂肪由来間葉系幹細胞移植治験、心不全在宅医療、分枝型ステントグラフト開発、新規TAVIデバイス導入など多岐に渡る領域で積極的に推進しています。当研究室が主体となって研究開発を進めてきた虚血性心筋症に対するハートシート移植は、治験を経て2016年に保健償還され、最近では、他家iPS細胞由来心筋細胞シート移植の医師主導型治験を実施しております。

写真2 iPS細胞由来心筋細胞シート移植

基礎研究はiPS細胞由来心筋再生、疾患特異的iPS細胞を用いた創薬、In vivo イメージング、AI/バイオデザイン、ONO1301オキシム誘導体、HMGB1、脂肪幹細胞などの領域を中心に推進しており、多数の国際発表や論文業績を挙げております。これに付随し、多くの研究費を獲得し、良好な研究環境を構築しております。

教育においては、若手医師の初期教育として阪大心臓血管外科グループ病院による心臓血管外科教育プログラムをもとに、全国より専攻医を受け入れ指導者を目指す術者教育・学術教育を行なっております。また、これまで多数のワークショップ・ウエットラボなどを開催し、全国で40以上の施設において手術指導・国内留学医師の受け入れ実績があります。また、医療現場の問題点を抽出し、その問題点を解決すべく医療器具を開発するバイオデザインを積極的に進めており、新規医療機器開発とベンチャー企業の創設を行っています。