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腹膜透析施行時のトラブルシューティング

PD注排液困難時の対応・指導

1.注液・排液時の腹痛

注液時の腹痛

考えられる要因

透析液の温度が低い場合や、強い水流による腹腔内臓器刺激が原因である可能性があります。

対応・指導

透析液が適切な温度であるか確認し、透析液バックの高さを変える、注入速度を遅くするなどの対応・指導を行ってみましょう。また、体位変換が有効な場合もあります。

排液時の腹痛

考えられる要因

ダグラス窩に留置されているカテーテル先端の刺激で、腹腔内が空になった際に下腹部に痛みを感じる場合があります。

対応・指導

排液の際に100ml程度の透析液を腹腔内に残すなどの対応・指導を行ってみましょう。

2.注液・排液困難

透析バッグやカテーテルのクランプが閉じていないかなどの確認が必要です。適切なラインになっていることを確認し、以下の注排液異常の確認を行って下さい。

考えられる要因

  1. 注排液の遅延が起こった際の原因として、特に多いのが便秘です。便秘による腹腔内容積の減少は、注排液を妨げている可能性があります。
  2. PDカテーテルは固定されていないため、便秘や消化管蠕動運動などにより、先端位置異常が生じ、排液困難の原因となります。
  3. 注排液困難の原因として、カテーテル閉塞があります。フィブリンがカテーテル先端に詰まることにより、注排液不良を起こします。また、大網や卵管采がカテーテルに巻絡した場合も原因となります。

対応・指導

  1. 便秘が高度の場合には、医療機関を受診し、適切な下剤の処方を依頼しましょう。
  2. カテーテル位置異常は、便秘により生じる場合があり、①と同様に適切な排便を促します。また、階段昇降などの運動でもカテーテル位置異常が改善する場合があります。特定の体位で注排液が改善する場合があり、体位変換などを指導します。
  3. 排液バッグ内にフィブリン塊がないかを確認し、フィブリンによる閉塞が疑われた際には、注液バッグを用手的に加圧してみます。大網や卵管采の巻絡の場合は、解除不能となります。注排液が困難な場合は医療機関に連絡し、適切な処置の指導を仰いで下さい。
《カテーテル先端に閉塞したフィブリン》
《カテーテル位置異常》
《大網巻絡》