大阪大学腎臓内科ホームページ

腹膜透析施行時のトラブルシューティング

出口部異常時の対応・指導

出口部を見る際には、必ず手袋をつけましょう。

カテーテル出口部の診察

【正常の出口部】

【滲出液、排膿】

原因

洗浄不足や創部をきっかけに細菌感染を起こしている可能性があります。カテーテルの裏側も確認しましょう。表からは問題なくても裏側にも滲出液、排膿などを認めることがあります。

対応

トンネル上を出口部に向かって押しても排膿が無いことを確認しましょう。排膿を認める場合は、感染が疑われるため、抗生剤が必要となる場合があり、医療機関に連絡して下さい。

指導

出口部洗浄の徹底や自宅の衛生状態の確認をして下さい。

【肉芽】

原因

特に発赤を伴う場合は、感染により肉芽を形成している可能性が高いです。機械的刺激により肉芽を形成することがありますが、まずは感染を疑います。

対応

抗生剤加療が必要となる可能性があるため医療機関へ連絡して下さい。

指導

出口部洗浄の徹底、カテーテル固定位置を確認して下さい。

【痂皮】

原因

機械的刺激(ベルトなど)、カテーテルを引っ張った刺激などで起こります。

対応

機械的刺激のエピソードがあるか、出血していることがあるか患者さんに確認して下さい。

指導

痂皮に対しては、自然に脱落するのを待ちましょう。無理に取ろうとすると出血することがあります。

【出血】

原因

痂皮の時と同様に機械的刺激や感染などを疑います。

対応

カテーテル裏も確認しましょう。出口部に肉芽などがあるか、感染の有無を確認しましょう。カテーテルの強い牽引や痂皮脱落があったか等患者さんに確認して下さい。抗血小板薬や抗凝固薬を服用しているか確認しておいて下さい。現在出血している場合は、医療機関へ連絡して下さい。

指導

機械的刺激が起きないようにベルト位置などを工夫し、カテーテルをしっかり固定しましょう。

【トンネル感染】

原因

出口部や毛穴から細菌が侵入して感染を引き起こしている可能性があります。

対応

早急に抗生剤加療が必要であるため医療機関へ連絡して下さい。

指導

普段から出口部だけでなく、カテーテルが挿入してあるトンネル部の発赤も確認して下さい。出口部は問題なくてもトンネル感染を起こしていることがあります。

【皮膚かぶれ】

原因

チューブやガーゼを固定するテープによる刺激、全身であれば、皮膚乾燥や、まれにアレルギーによる場合があります。

対応

部位を確認し、テープによる皮膚かぶれ、もしくは皮膚アレルギーなどの鑑別を行って下さい。アレルギーが疑われる場合は薬剤歴や使用している石鹸、保湿剤の確認を行って下さい。症状が重度の場合は医療機関に連絡して下さい。

指導

テープかぶれが疑われる場合は、テープ固定位置やテープの種類の変更などを指導して下さい。乾燥が疑われる場合には、普段からの保湿を勧めて下さい。