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腹膜透析施行時のトラブルシューティング

PD排液混濁時の対応・指導

PD排液混濁時に見逃してはならないのは、PD療法に関連する最も深刻な合併症であるPD関連腹膜炎です。PD関連腹膜炎は早期診断、早期治療が最も重要です。

考えられる要因

PD関連腹膜炎、Ca拮抗薬投与、脂肪食品摂取

対応・指導

腹膜炎を疑う症状として、腹痛、嘔気、発熱などがみられるため、それらの症状の聞き取りを行いましょう。また出口部感染・トンネル感染の有無も確認して下さい。しかしながら、それらを伴わない腹膜炎もあることに注意が必要です。Ca拮抗薬投与、脂肪食品摂取でも排液混濁を来すことはありますが、排液混濁を見た場合は、PD関連腹膜炎を疑い速やかな医療機関への連絡が原則です。

来院の際には、混濁した腹膜透析液を必ず持参するように指導して下さい。PD関連腹膜炎の診断や適切な抗菌薬使用のための細菌培養検査に必須となります。仮に患者が廃棄した場合には、医療機関で適切な対応が早期にできるように、注液をした状態での受診を指導します。(腹膜炎の診断には最低でも2時間の注液が必要です。)

《正常な排液》
《混濁した排液:PD関連腹膜炎》